優しさには棘がある【赤】

棘……27 ページ28

重岡
『………ええよ、その条件で』



『…良かった』



小瀧
『………』





…さっきから小瀧先輩が
一言も発さないのが気になりながらも

拘束をとかれる様子を見守った。




小瀧
『………しげ』



重岡
『ん？』



小瀧
『…悪いな』



重岡
『…は？』






(ｸﾞｻｯ…)




重岡
『…ぐっ……あ……』




『…きゃあ…っ！！……』





間違いなく…小瀧先輩が
隠し持っていたナイフで
重岡先輩は刺された。



『重岡先輩…？』




重岡
『……はは…ははは……』



小瀧
『………っ』




駆け寄ろうとした私を

遮り、



小瀧
『…今すぐここから出ていけ』





『でも…重岡先輩が！』




小瀧
『…これは…俺にも責任があるから。

…早く…』





『あっ…』





無理やり追い出されて


鍵をかけられた。





『小瀧先輩…！！…重岡先輩…！！』




重岡
『お前…なにを…』



小瀧
『…俺たちは同罪なんや。

…死ぬなら一緒やろ…』






わずかなスペースから中を除けば

明らかにガソリンと思われるものを
重岡先輩の周り、
部屋全体に身体を引きずりながら
撒いている。





『やめて…やめてください……』

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