美しい人と。 (ページ4)

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｢んっ、｣

ねっとりとした甘いキスをして
私の腰を惹き寄せる。

向き直って唇を離せば、
成亮さんが私の胸におでこを寄せてもたれる。

深い呼吸と、ほんのり上がった体温。

このまま寝ちゃうんじゃないか…？

まぶたの重そうな彼をぽんぽんと叩いてあげる。

｢成亮さん、(ベッドに)行こ、？｣
｢…ん。連れてって。｣

つれ、え？どうやって、？笑

この脱力した重そうな男性をどうやったら
女ひとりで運べるだろうか。

｢…ここ掴まれる？｣
｢ん。｣

苦肉の策で出した答え。

後ろから首に巻きついてもらい、
おんぶの要領で持ち上げる。

とはいえ身長差があるので結局は歩いてもらうのだが。

バックハグされたまま廊下を歩く。

うなじにかかる吐息がくすぐったい。

寝室に到着した途端、
後ろから思いきり体重をかけられて
2人重なったままベッドに倒れ込む。

｢むぐぅっ、！｣
｢ははっ変な声。｣
｢もぉー。重いからどいてっ笑｣
｢やだぁー。｣
｢えぇー？笑｣

あー、Aが俺で沈んじゃう。
とか言いながら目を閉じる成亮さん。

下にいる私が苦しくならないように、
少し身体を浮かせて気遣ってくれる。

｢しげあきさん、寝ましょうよ。｣
｢んー…｣

｢ほら、枕。あと少しで届きますから｣
｢うーん…｣

｢一緒に布団入ろ？｣
｢ん。。｣

幼い子をあやすみたいに声を掛ければ、
しぶしぶといった感じで
ベッドの定位置まで動いてくれた。

ご丁寧に腕枕まで用意されている。

投げ出された彼の右腕を折り畳ませて、
自分の左腕を、彼の頭の下にもぐりこませた。

今日は私が腕枕をしよう。

｢んふ、｣

ふわりと笑みをこぼした彼が、
素直に私の腕枕に頭を乗せて目を瞑る。

彼のおでこに唇を寄せて、囁いた。

｢愛しい人。おやすみなさい。｣

だんだんと深まる彼の寝息。

重くなる瞼。

レコードに針を落とすみたく、
ふたりは意識を沈ませた。