ニートが10匹 ページ11
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シゲは大きな目を輝かせて、こちらを見つめている。
その視線からは逃げられることができずにいる。
少しの沈黙が流れる。
その状況を破ったのは、シゲの優しい声だった。
「なぁ、さっき中間さんと何話してたん?」
「えっと……シゲが……」
「俺が何?教えてや」
分かっているくせして、知らないふりをしているのだろうが。
それが罠だとしたら、私はもう既に引っ掛かっているのかもしれない。
「……シゲが、会社で私のこと天使ちゃんやとかなんとか」
「んふふ、そんな話してたんかぁ」
シゲはゆっくりと私の方へ詰め寄ってき、
お互いの鼻がくっつきそうなくらいの距離。
「なぁ、Aちゃん」
アルコールの匂いを含んだ声。
それさえも今は心地よく感じてしまうのは、きっと彼の魔法。
「俺、ほんまにAちゃんのこと好き」
「……それで?」
「俺がこれから先も、ずーっとずっと、養ったる。
やから、俺とずっと一緒におってや」
ふんわりと笑みを浮かべるシゲ。
ああ、最初から私はこの笑顔の虜だったのかもしれない。
「……シゲになら、養われてもいいよ」
「ふふ、相変わらず生意気やな」
その瞬間、唇に柔らかい感触が伝わった。
Fin
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作者名:も。 | 作成日時:2019年10月21日 0時