愛と傲慢 ページ49
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(side RED)
俺の彼女は、やさしい。
ただ優しいだけやなくて、もちろん怒ったりもするんやけど。
俺がやさしくしてほしいとき、沈んだ時なんかは、この世界の優しいは全部コイツから始まってんのかと思うくらいの優しさをくれる。
いまだって、そう。
忙しい、疲れた、ねむい、くるしい、
そんなのがぐるぐると身体の中を巡って無言で寄りかかった俺を、ただ優しく微笑んで抱き締めてくれる。
どうしたん、なんて聞かへんのも優しさで。
A曰く、言いたくない時と、聞いて欲しい時の境目が分かるらしい。
お察しの通り、今日は、言いたくない時。
口から、濁った泥が零れ出しそうで。
「ご飯どうしよっか？」
重「…後にする」
「ん、わかった」
重「……いい？」
「いいよお、もちろん」
重「…ん」
ぐりぐり、押し付けた頭を優しく撫でてくれながら、「ずっと一緒にいるよ」なんて伝えてくれる声がとびきり柔らかくて。
ちらりと視線を上げた俺を覗き込むようにしてお互いの鼻先を擦り合わせたら、俺が少しだけ顔を寄せて、音もなくキスをひとつ。
触れた唇は柔らかくて温かくて、冷え切ったどん底みたいな心にぶわりと大きな火を灯した。
重「…今日、しんどいねん」
「うん、しんどい時は無理せんでいいの」
重「……また、甘やかす」
「当たり前やん、世界で一番しげちゃんに甘い女やで」
重「…ふは、せやな」
優しさと、甘さと。
履き違えるなんてことはなくて、大事なときはとびきり甘く、溶けそうに深い愛をくれる。
世界でいちばん俺に甘い、か。
なんか、ええな。うれしい。
重「手繋いで寝てええ？」
「うん、大歓迎」
重「ん、じゃあ、ねる」
「ゆっくり寝て、ゆっくり元気になろ」
重「…ん」
触れた温もりと、優しい声に包まれる。
このまま世界が終わったら、と思ったりもするけど、俺の世界が終わる時に、きっとコイツは笑顔でついてきてくれそうな気がして。
この先も沢山見られるはずの笑顔を、俺だけが見られる表情を。
誰にも見せてやるつもりはないけど、終わらせるつもりもないから。
重「…ありがとうな」
「ふふ、おやすみ、しげちゃん」
重「おやすみ、A」
一度掴んだからには、二度と離さへん。
世界の終わりに、もしお前が俺と違う道を選ぶなら、俺はきっと。
重ねた掌に傲慢を隠して、ただあたたかな慈愛に沈む。
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竜胆(プロフ) - Rさんさん» こちらこそ、読んでくださってありがとうございます。重岡逃走中、書きたいなとはむちゃくちゃ思ってます。予定は未定ですけれど、いつか書きます。少しばかりお待ち頂けますと幸いでございます。 (4月6日 19時) (
レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
Rさん(プロフ) - いつも素敵なお話ありがとうございます。リクエストなのですが。重岡逃走中が大好きで重岡逃走中のお話書いていただきたいです。できればで大丈夫です。よろしくお願い致します。 (3月26日 9時) (レス) id: a98349d762 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 亜由さん» コメントありがとうございます、いつも読んでいただいて嬉しいです。リクエストに関しまして、お応えしたい気持ちは山々なのですが、件の彼について情報をあまり持っておらず表現に不足が出そうなので、今回は見送らせてください。またリクエストお待ちしています。 (2月16日 9時) (レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
亜由 - 遅くにすみません｡小説読みました。リクエストなんですけど、厨房のありすに主夢が永瀬君の恋人役に決まった事をマネージャーがメンバー皆が居る所で言っていたら永瀬君が楽屋に来たお話を書いてもらえませんか？ (2月16日 5時) (レス) id: 056f326efc (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - eapoiraile18さん» コメントありがとうございます、新鮮さ感じてくださって嬉しいです。本当にたまにですがメンバー以外の第三者目線のお話もあるので、楽しんで頂けますと幸いです。 (2月13日 21時) (レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜胆 | 作成日時：2024年1月21日 2時
