Pandora ページ47
.
(side RED)
楽屋に入れば、片手を上げて俺に挨拶をしてくれる淳太がなにかしらの冊子に目を通していた。
おはよー、って声を掛けながら覗けば、ページには大きくAが居て。
何見てんの？なんて言いながら淳太が丁寧にページを捲るそれの表紙を見れば、妖艶に唇を拭う表紙いっぱいのAとばちりと目が合う。
瞬間、バッと淳太の手からその本を奪って俺の腕の中に抱き締めた。
中「あ！今見てんのに」
重「あかんって！何じっくり見てんねん！」
「あれ、おはようしげちゃん」
重「俺より先に誰かに見せんな言うたやろ！」
「昨日一番に渡したやん」
重「俺まだ！見てへんもん！！」
「そら知らんわぁ」
ふらりと楽屋に入ったAに喚けば、肩を竦めた彼女は既に楽屋の端に置いてあったバッグからもう1冊を取り出して淳太に渡した。
多分あれ皺なってるから、って。
確かに皺にはなってる、だって俺力加減なんも考えんとこの写真集抱き締めてるもん。
お前がデビュー10周年記念で作った初めての写真集、ほんまは俺以外に見せるのだって嫌やのに、誰よりも先に見るべき俺がまだ見てない状態で他の男がお前のむちゃくちゃ可愛いとこ見るなんて。
いや貰ったまま大事すぎて開けれてない俺が悪いけど！！！
中「これいつ撮ったん？夏？」
「海のやつは夏かな。ツアー中とか絞れてるから、その時に撮ってもらってるやつもある」
中「へー、…うわ、このページやば」
重「もお見んなって！！！」
中「あっコラ2冊目までぐちゃぐちゃにすんなって」
「もお、しげちゃん」
重「だって淳太が俺より先に見てる！！」
「だから昨日先にあげたのに、」
重「そんっ、そんなん俺じっくり見たいねんもん、！」
「分かった分かった、じゃあソファで一緒に見よ」
重「……見る」
大人しくソファに移動して胡座をかく俺の膝の上にAが座って、俺に凭れる彼女が持ったそれを血走った目で見詰める。
表紙をすぐに捲ろうとするから、とりあえず堪能させてくれって手を止めて。
体感として数分、表紙の彼女とがっつり目を合わせてからようやく次のページに進んだ。
重「待っ」
「何回止めるん」
重「これ家で見ん？いま俺、ちょっと」
「まだ1ページ目やで」
重「1ページ目から水着やとは聞いてへん」
「言うてないかぁ」
重「…え、どこまで脱ぐん？」
「……おうちで見る？」
重「…あ、鼻血出そう」
「あほ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 838人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
