白と赤とジレンマ ページ46
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(side RED)
メンバーの可愛いと思うところを教えてください。
そう書かれた番組アンケートの締切も終わって、収録まであと数日。
そういえばアイツ俺の欄に何て書いたんやろうと、彼女の家でシャワーを浴びながら思う。
俺としてはカッコイイとこばっかり見せたいけど、格好良くないとこも山程見せてるし、アイツの中で可愛いに分類されることも多分山程あって。
その中でも紹介できるぐらいの"可愛いところ"ってなると何になるんやろうって。
放送で確実に触れられるとも限らんアンケートやからこそ、正解が知りたくなって濡れた髪のままリビングへと戻った。
重「なあ、あのアンケートさあ」
「んー？」
重「俺のとこなんて書いた？」
「収録の時のお楽しみにせんでいいん？」
重「アンケート全部紹介せんやろ」
まぁそっかあ、って言いながら俺の首に下がったタオルで毛先を拭ってくれる彼女の顔を、少し腰を曲げて覗き込む。
急に鼻先が触れそうな距離になっても、特段びっくりしよるわけでもないあたりちょっと悔しい。
…なんて思ってたら、弧を描いた唇が近付いて、ほんの少しだけ空いていた距離がゼロになって。
柔らかい唇からふわりと香ったアルコールにじとりと目を細めた。
重「…俺が風呂上がってから一緒に呑もう言うたのに」
「ええ？」
重「ええ、ちゃうねん。バレバレや」
「ちょっとしか呑んでないのに」
重「あほ、お見通しやわ」
「んふふ、」
誤魔化すように笑う唇がまた触れ合って、それだけで俺の心が絆されてしまうことなんかはそれこそお見通しなんやろう。
俺がキスひとつでアルコールを感じ取ることより、もっとすごい能力やと思う。
俺もお前の心が見通せる能力欲しいわ、と思うけど、キスの後にちらりと覗かせた舌の意味は言葉なしに伝わるから、俺もなにかしらの能力は持ってそう。
ちゅる、って絡めた舌でアルコールを分け合って、唇は触れたまま。
重「ほんで、俺の可愛いとこは？」
「ちゅう終わったら言うたげる」
重「ちゅー終わったらベッド行くけど」
「あれ、晩酌は？」
重「また今度」
かぷ、って甘く噛んだ唇はさっきより少し熱くて。
くふくふ笑ったAと視線を重ねれば、「じゃれてるみたいで可愛い」なんて言うから、強めに噛んだら「明日撮影やのに！」ってしっかり怒られた。
…だってお前が可愛いって言うから。
俺はやっぱりカッコイイがいい。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
