あすなろ ページ5
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(side ORANGE)
重「…なにしとんの自分ら」
「あすなろ抱き」
小「抱かれてんねん」
撮影の合間に珍しくじゃれあいを始めた姫さんと、余裕の笑みを浮かべている望。
自分ついさっきまで楽屋に響き渡るほど嬉しそうに叫んでたん知ってんぞ。笑
重「…ふうん？したなったん？」
「望がいつもする感じを味わいたかってん」
小「座ってたらちょうどいつもの逆ぐらいの高さやもん、なー？」
「なー？」
小「んふ、かわい」
ふうん、ってもう1回呟いてソファに座るしげは、ちらちらと二人の方を見て。
それに気付いた望がしげを煽ろうとにやついた。
小「気になる？しげもしたろか？」
重「いらんわwなんで小瀧にされなあかんねん」
「でもこれ結構距離近いよな？」
小「せやな、振り向いたら結構、…！」
重「こらぁ！！！」
視線の合った二人が距離の近さに目を見開くのと、しげが怒って立ち上がるのはコンマ数秒の差で。
そんでしげの声に姫さんが逃げていくのもまた素早くて、広めの楽屋で始まった追いかけっこに「こら走らんのよー」って声を掛けるけど聞こえとるんかどうなんか。
視線を感じて小瀧を見れば、口元に手を当てて肩を竦めながら八の字眉でこっちを見ていた。
やめろ、少女漫画の顔すな。笑
重「待てコラ！」
「もー！怒らんといて！」
重「メンバーにまで妬かすなていつも言うてるやろ！」
ちゃんと聞こえていたらしい俺の注意を受けて早歩きで逃げる姫さんはなんとなく嬉しそうで、罪深いなあなんて思うわけやけど、対するしげはもう早歩きを超えたスピードで姫さんを追い詰めてて。
「走ったらあかんって言われたやろ！」
重「競歩や！」
「競歩wwも、笑かさんといて」
重「あっアホ！前見ろ！」
「えっ」
ドアに突っ込む寸前、運良くドアを開けた流星の胸板に思いっきりぶつかる。
いだっ、なんて小さく声を出した姫さんは、なんも悪くない流星に「あ、ごめん」って頭を撫でられながら、ぶつかった流星の胸板を摩ってとぼとぼとしげの腕の中に収まった。
「しげちゃん、いたかった」
重「前見てへんしや、どこぶつけてん」
「ぜんぶ」
重「うそつけ、見せてみ」
ああ、始まったわ。
さっきまでの追いかけっこが嘘みたいに始まる過保護タイム。
欠片の怪我もなかったけれど、そのあとずっと心配性の彼氏にソファであすなろ抱きされとったんは言うまでもない。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
