プライド ページ4
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(side WHITE)
重「あー！！！」
「うるっさ」
重「ちょ、お前これ入ってるやんけ！」
「入ってへんって」
重「あかん一旦止めるわ」
ソファの上でぎゅうぎゅうに抱きしめられながら、主演ドラマを視聴中。
リアルタイムは無理やと予告で感じ取ったらしい彼は、画面の中で絶賛ベッドシーンを演じている主演の私を腕の中に閉じ込めながら耳元でわーわーと叫んでいる。
ふーっ、って天井を見上げながら大きく息を吐いて心を落ち着かせている彼の髪を撫でながら、観んほうがいいかもって言うたのに、と思ったり。
いや、俺はそういうの割り切って観れるから。お前のキスシーンだって今まで山ほど見てきたし。
なんて自慢げに言うてた彼は、今まで私のキスシーンを見た翌日、キスする時に必ず私の唇を噛んでいることには気付いていないらしかった。
重「あー俺無理かも」
「観るのやめたらいいのに、」
重「…いや、でも俺の知らんお前が居るんは避けたいというか、」
「知らん私なんかおらへんと思うけど、」
重「コイツが見た肌を俺も見とかなあかんと言うか、」
「…何言うてるん？」
重「とりあえず見とかんと、」
気合を入れて観てもらっているところ申し訳ないけれど、しげちゃんだって知るとおり、ドライからカメリハからランスルーを経て本番まで、何度も同じ触れ合いはあって。
重「うわっ、」
「ん？」
重「お前、えっろ…」
「…ン、ちょっとしげちゃん、」
重「…これ、俺以外に見られたないわ」
目線はテレビに集中しているくせ、服の裾から忍び込んだ掌は素肌をゆったりと撫でて、首筋に鼻先が埋まる。
触れる吐息が擽ったくて声を掛けるけど、重なった視線に籠った熱に思わず目を逸らした。
あんな瞳、合わせてしまえば5秒ともたずにくらりと脳が蕩けそうで。
重「これキスほんまにしてんの？」
「ん、そのシーンは、してない」
重「ずっとしてない？」
「ううん、横顔のとこは、してる」
重「……」
「も、息がこそばい、」
重「我慢せえ、噛みそうなん我慢してんねん」
ライオンか。
って笑って流せるような雰囲気でもないから、彼の言うとおりに腕の中でじっとしていたのに、結局そのシーンが終わる頃には私の鎖骨には浅い歯型が残って。
それから数日、テレビ局で男性とすれ違う度に私を背中に隠すしげちゃんはだいぶ過保護だったけれど、その独占欲は存外に心地よかった。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
