姉と弟 ページ25
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(side YELLOW)
俺らメンバーの中で喧嘩や言い合いが起きたとき、とびきり仲直りの早いのが俺としげ。
…まあ、これは俺が怒ってようが関係なくしげが絡んでくるからやけど。
それから、小さい喧嘩の時のしげとA。
それに次いで早いのが、
小「もう分かったって！」
「よくない、いっつも言うてるやろ」
小「もーー！！ほんっまうるさい！」
「うるさいと思うんやったら何回も言わせんといて」
小「ほっとけって、自分の体ちゃうやん」
「見てて気になんねん」
小「うっさいわ、ほな見えへんとこ行けや！」
末っ子と末っ子の口喧嘩。
普段さんざんお互いに甘いくせして、喧嘩となるとほんまの姉弟みたいに激しめの言い合いに発展する。
今回の喧嘩のタネは唇のコンディションらしく、おはよう、って控室に入った瞬間、顔を見るなり低めの声で名前を呼ばれた小瀧は、バツが悪そうにスッと顔を逸らした。
思い当たる節は大いにあるようで。
だからこそ、指摘されるのが不本意だったらしい。
「ずっと言うてるやん」
小「…覚えてるけど、」
「けど？」
小「……忘れてた、」
「どうでもいいと思ったんや？」
小「…、」
「ふうん」
目を合わさんまま返事する小瀧がしゅんと眉を下げて、Aが静かに控室を出ていく。
しげはこうやって声を荒げた喧嘩からすぐ仲直りできんのは羨ましいなんて言うけど、好きな女に言い過ぎてまう性質としては割と似てるような気もするけどな。
ぺたりと寝た耳が見えるくらいしょんぼりとヘコむ小瀧の背中がどんどん小さくなっていく中、数分もせんうちに部屋に戻ったAは自販機で買ったであろう甘めのコーヒーをカツンとテーブルに置いた。
それだけで肩を跳ねさせた小瀧はもうきっと怒りの感情なんか1ミリもなくて、反省しかない八の字眉でAを見る。
「望」
小「…ハイ」
「上向いて」
小「ん、？」
戸惑いながら彼女を見上げた小瀧の唇に透明のリップを滑らせながら、「ほら、こっちのがもっと格好良い」って笑うAに小瀧が抱き着いて、「マジで好き」って本気の目しとる。笑
そのあとはもう「使いさし？」「あほ、メイクさんに予備の新品貰ってきてん」っていつも通りの会話で、小瀧の後ろには大きく振れたふさふさの尻尾が見えた。
このふたり、仲直りが早い、というよりかは、
姉の器量がでかいと言うほうが的確かも。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
