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(side RED)
「おはよお」
桐「お、お騒がせカップルおはようさん」
中「背中にでっかい妖怪つけて」
重「誰が妖怪や！」
小「妖怪マグカップ割りやん」
神「んふwww」
あれから事の顛末をざっくりと説明して、仲直りしました、の報告をグループメッセージで全員に送信した。
おかげで妖怪マグカップ割りなんていう不名誉な名前まで付けられてしまったけど、まあ仲直りできたからええとしよう。
藤「おはよ、マグカップまだ届かんの？」
「うん、あと2週間くらいやって」
濱「ありゃ、結構かかんのね」
「ん、一個増えたからなぁ」
Aの割れたマグカップは、翌日に金継ぎの依頼をしたようで、あと1週間ほどで仕上がるらしく。
彼女の部屋で懺悔と愛の告白を終えた俺が、自分のマグカップまで割ってもうたことを話せば、同じ職人さんに頼もっか、とのことで俺のはあと2週間。
この2週間、Aの愛を疑った俺に課せられた罰と言えば、ふたつが届いて揃うまで、ハグ以外の全てを禁止されたこと。
だから俺としては、はよ届いてくれ、以外の何物でもないんやけど、割と時間が掛かるらしく。
その間俺に許されたのはハグだけやから、所構わずAの背中にくっついては、牽制に牽制を重ねる。
若いスタッフも誰も彼も、Aに熱視線を送る全てに向かって圧を掛けながら廊下を練り歩いて、ようやく楽屋に辿り着いた。
「重たいー、」
重「重たない」
「ふふ、重たいかどうかは私が決めんの」
重「分かったほな抱っこしたろ」
「あーっもう、恥ずかしいしやめて！」
中「もうイチャイチャすんなw」
俺に抱き込められとるAも、窘めてくる淳太も、見守ってくれとるメンバーも、なんか全員まとめて嬉しそうやから、あんな絶望の底におった俺の心はいまや希望に満ちている。
神「あとAはホンマのことを隠さんと言うように。しげにも、俺らにも。」
「はあい」
重「元はと言えばコイツがすぐ言わんから！」
「だって私の宝物割ったって知ったらしげちゃん傷付くやん！」
重「知らんのも傷付くわ！」
「…もう、優しさやったのに」
重「優しい嘘ならいらないってMISIAから習わんかったんか」
「あは、習った習った」
楽しそうに笑う横顔をじっと見つめれば、きゅるんと向いた瞳がうっとり笑うから、
本物の笑顔から与えられる幸せを噛み締めながら、愛情たっぷりに抱き締めた。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
