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(side RED)
重「なーあ、仲直りしよ」
「やぁ、私の浮気疑ったくせに」
重「ごめんって、」
「いーや」
重「ん、分かった、仲直りしよ」
「んふ、ちゃんと聞いてた？」
甘ったるいのは、俺の声だけじゃない。
とろとろの笑顔で俺を癒してくれるAを抱き締めながら、お互いが耳元で囁きあって、擽ったさと愛しさににやけながら言葉を紡ぐ。
いい加減玄関から進んでいいやろうとこっそり靴を脱いで、彼女の体を抱き上げてから廊下を歩き出せば、驚いたAが浮いた足を揺らした。
「あっ、あかんって！」
重「なんであかんねん」
「ちょ、止まって、」
重「なんや、男でも連れ込んだんか」
「ちゃうって、あほ！」
重「ほんまに連れ込んどったら抱き潰しとるわ、アホ」
リビングへ続く廊下を歩き終えて、じたばたと揺れる体を落とさんようにドアを開ければ、丸っきり俺が知ったままの部屋が現れる。
…なんや、変わってへんやん。
俺の私物もそのままやし、模様替えしたわけでもなく、増えても減ってもない。
けど、何故かAは両手で顔を隠しながら恥ずかしそうにするから、首を傾げて顔を覗き込んだ。
重「…なに照れてんの？」
「照れてるんじゃなくて、はずかしいの、」
重「なんで？なんも変わってへんやん」
「…だって、別れて1週間も経つのに、私物1個も捨てられてへん、」
重「…いや、そんなん、俺もやけど」
「…えっ」
重「…お前案外、未練タラタラやな」
「ほんっまにしげちゃんには言われたくないんやけど！」
重「ふは、」
そっと身体を下ろせば、ぱたぱたと赤い顔を扇ぎながら、買ったままキッチンに放置されているらしい荷物の方まで歩いていくから、後ろから着いていった。
重「なあ、俺が終わりやって言うた時さあ、」
「うん」
重「返事せんかったやん？」
「…そうやっけ？」
重「ん、やし、…ノーカウントにしたらあかん？」
「しげちゃんに浮気疑われた挙句、終わりやって言われた私の気持ちは？」
重「…いまからなんとかします」
出来んのお、なんて笑いながら言うAはきっと、なんとか出来んくても許してくれるやろうけど。
「でも、出ていく時にさ」
重「ん？」
「くれた男とでも幸せになれや、って言うてん」
重「…そう、やっけ？」
「ん、やし、ノーカウントにしてあげてもいいよ」
重「愛してる」
「軽！」
重「www」
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
