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(side RED)
噂というものは、あっという間に広まって。
別れたらしい、
今ふたりともフリーやって、
好みのタイプは、
とか、なんとか。
どこから漏れんねん、って思うけど、収録合間の俺とAの距離感で察してしまう人も居るらしく。
収録中はいつも通りやけど、ひとたびカメラが止まればAはふらりとどこかに行ってしまうことが増えて、俺は興味が無いフリしてその背中を盗み見る日々。
あれから1週間経った今、
彼女は変わらずで、メンバーだって気にしてくれながらもいつも通りで。
飯食いに行ったりしてた小瀧と流星は、「元気に振舞ってるけど、結構しんどそう」とか、「飯あんまり量食えてなかったわ」なんて教えてくれたりした。
…狙っとるかも、って疑いの気持ちを欠片でも持ってしまった自分を、少し責めた。
桐「しげちゃん、ちょっと」
重「…ん」
神「姫さんはコッチな」
「ん？」
楽屋からそれぞれ、バラバラの方向へ呼ばれる俺ら。
Aを振り返るけど、彼女がこっちを振り向くことはなくて。
それどころかこの一週間、収録以外で目が合うことも無かった。
桐「で、仲直りは？」
重「……してへん」
桐「しげ」
重「…やって、分からんねんもん、」
桐「どう謝ったらいいか？」
重「…それもやし、俺が許せるかどうか、」
しん、と沈黙が落ちて。
眉間に皺を寄せながら吐いた溜息に、照史が口を開いた。
桐「口出しすんのもアレかと思って聞かんかったけど、原因は何なん？」
重「…俺の仮定も含めての話になる、けど」
桐「おん、ええよ」
重「…要するに、」
割ってもうたマグカップが、俺以外の男からのプレゼントで、俺と居るときもそれを大事に使ってたことが許せんくて。
って言うのを、頭の中で整理しながらなるべく伝わるようにゆっくりと。
改めて言葉にすると、怒りより悲しみの方が強いことに気付いた。
桐「ん。それで、どこからどこまで？」
重「…ん？」
桐「どこからどこまで、仮定？」
受け止めたくない俺が勝手に頭の中で作りだした仮定は、思えば。
重「…ぜんぶ」
桐「しげ、Aにちゃんと聞きに行こ」
重「……俺、立ち直られへんかも」
桐「大丈夫や、Aがお前を悲しませたことなんか無いやろ」
無い、
無いよ。
…逆は、山ほど思い当たるのになあ。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
