「どうせ僕だけでしょ」 ページ2
.
(side RED)
重「ちょ、ちょお待て、」
「なんで逃げるん、」
重「逃げるってか、ッン、こら、」
1話放送から一夜明けて、翌日。
家で一人で観たかったらしい彼女は、夜遅くご丁寧に感想のメッセージをくれて。
今回は予告の時点で既に拗ねとったし、1話観ても大して妬かんかったかあ、ってどこか拍子抜けするような感覚を覚えながら一日を過ごした。
撮影が終わって家に帰るまでの車中、同じようなタイミングで撮影を終えたAからのメッセージに、嬉々として家に招いた。
…までは、ええねんけど。
俺より少しだけ遅れて帰ってきたAは、来るなりソファに座る俺の膝に乗り上げてくるから、思わず制止の声を掛けてしまう。
重「ちょ、ほんま、」
「ンっ、」
重「、こらぁ、待てって、」
降ってくるキスは俺の制止なんか物ともせず、拒む理由もないけど喋っとるのを遮ってまでキスされんのなんか、まあ珍しくて。
なんかあったんか、拗ねとんのか、怒っとんのか、
それだけでも把握させて欲しくて彼女の口元を掌で覆えば、かぷりと掌に甘噛みを食らった。
重「ど、どうしてん、」
「なんもない」
重「…なんもないことないやろ」
「…あれは舜くんなんか大毅くんなんか分からへんくなって、確かめてんの」
重「…、ん、？」
頭の中で3回ほどその言葉を反芻するけれど、イマイチよく理解出来んくて。
いや、舜くんか大毅くんか、って、そんなん。
端から端まで全部演技やけど、要するにこれは。
重「むちゃくちゃ褒めてくれとるん…？」
「あんな自然にされたら観てて混乱する、」
重「ふは、そっかそっか、」
「…もう、またそんな余裕ぶって」
重「余裕なんか無いって、疲れた身体に積極的なお前は結構クるぞ」
確かめるように輪郭をなぞる指先がそっと俺の唇に触れるから誘うようにキスしてみれば、反抗的な指にむにっと唇が押されて。
撓垂れ掛かる彼女の身体が隙間なく俺にくっつくから、溜まった疲労の奥から沸々と湧き上がるものを感じながらしなやかな腰に腕をまわした。
重「ほら、もっと確かめんでええんか？」
「いっつもこうやって嫉妬すんの、私ばっかり」
重「そんなことないって。ほら、口あけ」
「…ン、」
従順な唇を塞いで、控えめに開いた隙間に舌先を捩じ込む。
確かめる方法なんか山ほどあるけど、今日は手っ取り早く、熱烈にいこうか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 838人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
