さんはい！ ページ1
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(side RED)
10月18日、夜。
8人が並び揃った空間で、新たな一歩を踏み出すとき。
桐「どういう会話をしてくれてんの？チャットは」
小「"WESTと歩む日々が私の宝物だから"、」
濱「歌詞みたいや〜ん」
桐「1曲作っちゃう？」
きっとファンのみんなが思うよりずっと楽しそうで、ファンのみんなが思うよりずっと、笑ってると思う。
それぞれの想いはあれど、足取りを同じくした俺らが揃って進む道はひとつで。
藤「もちろん寂しいという意見もありますし、」
小「終わって欲しくないみたいなね」
藤「そこはね」
小「終わんないですよ、ここからが始まりですから」
藤「正直な気持ちでいいんすよ」
重「いいよ、素直にやってくよ」
隣に座るAは、笑顔ながらも口数は少ない。
泣きそうなんやろ？ってちらりと視線を遣れば、微笑みを浮かべたまま小さく首を振った。
…うそつけ。
さっきまで小瀧と一緒に見てたスマホの画面から目を逸らしたのは、きっと小さなきっかけひとつで涙腺の箍が外れるのを予感してるから。
名前を変えなければいけないと、正式に決まったあの日。
嫌や、とは一度も口に出さんかったけど、その言葉の代わりにひたすら涙を流していた姿がまだ記憶に新しい。
後でいっぱい泣いたらええよ、俺も一緒に泣いたるわってぽんぽんと頭を撫でれば、少し眉を下げて笑った。
中「絶対に皆が納得いく名前を考えましたので」
重「いくぅ！？w」
神「そろそろ行きましょか」
いうても何も変わらんから、って笑う照史にAが頷いて。
いよいよ、って時。
今までのたくさんのありがとうを込めて、
天井の、その先へ、小さく手を振る。
隣に座る彼女も同じように上を見上げて、きらきらと光る瞳で満面の笑みを見せた。
ありがとうと、さようならと、これからもよろしくを込めて。
中「じゃあ、行きますか？」
桐「僕たちの口から」
重「え、行くぜ？行くよ？」
藤「行くぜってw」
メンバーひとりひとりと目を合わせて、
スタッフさんと目を合わせて、
最後にもう一度目を合わせたAも笑顔で、安堵する。
今までの思い出も、記憶も、全て背負って、
新しい、一歩を。
重「せーの、」
僕たちのグループ名は、
『WEST.でーす！』
共に目指した、輝く未来。
忘れないで、君と笑顔でいよう。
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作者名：竜胆 | 作成日時：2023年10月22日 19時
