白と赤の日常 ページ33
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(side RED)
寒い日の朝は、格闘。
スマホから鳴り響く音を寝惚けた指で止めて、開ききらん重い瞼を擦りながら、ゆっくりと寝返りを打った。
…あ、もう起きとる。
相変わらず寝起きええな、まあ俺のアラーム何回も聞いてたら起きてまうんかもしれんけど。
隣に僅かに残った温もりを確かめながら、くあ、と大きく欠伸をすれば、俺と同じスリッパの音が近付いて寝室の扉が開く。
重「…起きた」
「おはよう、大毅」
重「…おはよ、A」
「朝ごはん出来てるよ」
重「ん、」
静かにベッドまで歩み寄った彼女は、寝転んだままの俺と目が合うと嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。
ゆったりと弧を描いた唇がそっと俺の唇に触れて、窓から差した光がAの瞳に吸い込まれてきらきら光って。
ぼんやりした寝起きの頭でも、綺麗やなあ、って思えて無意識に手を伸ばした。
「なぁに、しげちゃんからもチューしてくれるん?」
重「…大毅って呼べや」
「んー?」
重「はよ、二度寝さすで」
「二度寝したらご飯冷めちゃうやん」
重「…なあ、」
「ふふ、はよ顔洗ってきて、大毅」
…コイツ、ほんま。
寝起きの若干掠れた俺の低い声にも臆する様子なんか微塵もなくて。
にんまり笑いながら俺のスネ夫みたいな寝癖を優しく撫でるから、頬に触れてた手をそのまま首の後ろに回して引き寄せる。
「っわ、」
重「油断してたら痛い目見んぞ」
「いいもん、しげちゃんにされるなら何でも」
重「……、」
「あ、ドキッとした?」
重「…してへん」
「ちょ、締め上げんといて」
重「お前が悪い」
俺に引き寄せられてベッドに半身を乗り上げた彼女をぎゅうぎゅうに抱き締めれば、嬉しそうな声で笑うから足まで絡めて強めに抱き締める。
もう〜、って可愛く反抗の声を上げるけど、そんな楽しそうな声で言うたってやめたらへん。
知っとるやろ、俺の最大の愛情表現がハグやって。
「んふふ、」
重「アホ、こそばいって」
「はよ起きて、お味噌汁入れるから」
重「朝から時間食うたわ」
「いや、しげちゃんのせいやから!」
耳元で幸せそうに笑ったAはもぞもぞ俺の腕の中から抜け出して。
俺をベッドに置き去りにしてリビングへ向かおうとする背中を追い掛ければ、にこにこしながら振り向くから、その肩に緩く腕を回す。
世界一幸せそうに笑う横顔に俺まで幸せになりながら、艶めいた黒髪をくしゃくしゃに撫で回した。
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亜由 - 楽しく読まさせて頂いてます。イブとクリスマスのお話が読みたいです。イブはシゲとクリスマスはメンバーと一緒のお話。 (2022年12月23日 16時) (レス) id: 056f326efc (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 亜由さん» 亜由さん、コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです、丁度本日書いていたので書き上げる活力になりました。ありがとうございます、それとお待たせしたようですみません。またお時間のある際に覗きに来て頂けると喜びます。楽しんで頂けますと幸いです。 (2022年12月20日 21時) (レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
亜由 - 遅くにすみません。小説読みました。白と赤の日常のお話が読みたいです。 (2022年12月20日 3時) (レス) id: 056f326efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竜胆 | 作成日時:2022年11月17日 18時