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お別れまでのstep1 ページ7

side:青

『シゲ、ちょっとあっちで話そ』

俺が先頭車両に続くドアをくぐると

シゲも無言でついてきた

「………俺さ、右足が失くなってん」

衝撃的な言葉やった

『え…でも…』

「分かってる…俺やって不思議やった

 失くしたはずの右足が今はあんねんもん」

そう言ってシゲは自分の右足を触ってみせた

確かに不思議や

俺は死んだ

事故で死んだんやったら俺には相当の傷があるはず

やのに今の俺は顔にも体にも傷一つない

「…この鉄道には、もしかしたら不思議な力みたいなのが働いてるんかもな

 両足があんの、なんか懐かしいわ…笑」

『…やから車椅子やったん?』

「…機材に挟まれたんやって」

窓の外を眺めながらシゲは笑った

傷だらけの笑顔

『さっき望が言った事は正論や…やから』

「俺は帰らへんよ」

『…は?』

「俺は帰らへん…俺は仲間を失ってまで生きてたいとは思わへんよ」

『………頑固やな』

「ッハ…それは今始まったわけやないやろ?笑」

俺やってシゲと離れたいわけやない

俺らは7人でひとつ

誰一人欠けたらあかん

この時はただただはよシゲを送り出さなって思ってた俺やけど

シゲとの会話を境に気持ちがどんどん揺れ動いていくことになるなんて

この時の俺が知るはずもなかった



 



 

揺れるココロ→←見えない壁



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作者名: | 作成日時:2020年2月4日 17時

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