銀河鉄道の朝： Red (ページ13)

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「ただの人間」としての言葉ページ13

side:緑

『俺は…シゲには無理してほしいって思ってる』

シゲに無理をさせる

………結局それってどっちなん？

シゲをここに残らせるんか

俺らのおらん世界に戻すんか

『…最年長としての俺は、シゲをもとの世界に戻させると思う

　やけど、ただの中間淳太としてやったら…決断はできひん

　中立っていうんは…卑怯なんかな…』

だんだんと声が小さくなっていく

優柔不断な自分へのいら立ち？

俺らにその言葉を否定されることへの不安？

「っざけんなよ…淳太が言ったんやで？正直に話そうって

　…淳太はそんな正解も不正解もない空間に卑怯ってもんが存在してるって思ってるん？」

淳太の瞳が揺らぎ

そして自分を嘲るような笑い声をあげた

『…存在するんとちゃう？笑

　確かにここに正解も不正解もない

　やけど俺はそれを意識して意見した

　そんな俺を、卑怯って言葉以外にどう言い表せるん？』

淳太がその笑顔を崩さないまま席をたとうとした瞬間

俺は自分で意識する間もなく

淳太の襟をつかんでいた

「そうやって逃げるんか？

　多数の人間が２つの意見の間で揺れてるときに

　まるで自分だけがこんな葛藤に悩まされてるみたいな態度とってさ…

　被害者ぶんな！！俺らやっておんなじやねん
　
　…俺らに真正面からぶつかってるフリして

　でも勝手に線引きして

　そんなフリ、俺らの間で通用するとでも思ってるんか！？！？」

興奮しきった俺の腕を淳太は勢いよく振り払った

『黙れよ……誰が逃げてるって？

　誰が線引きしてるって？

　正面からぶつかってるフリ？なんやねんそれ…

　そんな綺麗ごとばっか言ってるだけで

　この状況に何か変化をもたらすなら、えらい楽よなあ…』

葛藤、仲間同士の衝突ゆえに生み出された言葉の刃

互いに互いを傷つけあってもそれをやめることが出来へんかった

言葉の刃はどんな凶器よりも恐ろしいもんって知ってたのに

　

　