大丈夫。陸 ページ8
煉獄side
御「Aはね、鬼殺隊の誰よりも強いんだよ」
煉「尊敬する御館様の仰ることでも、にわかには信じられない!」
あの時の自分は、何を見ていたのだろうか。
『杏寿郎は凄い子だね。煉獄家の長子として、立派にやっている』
そう言った彼女の顔を、何故忘れていたのか。彼女は、母が亡くなり剣士を辞めた父を見て自信を無くした俺に、勇気と自尊を取り戻させてくれた女性だったではないか。
煉「不甲斐ない」
あぁ、どうすれば俺は貴女にもう一度会えるだろうか。
どうすれば俺は、貴女に赦してもらえるだろうか。
そんなことを願ってももう遅い。貴女は深く傷つき、俺たちを信じることすら辛くなってしまったのだから。
全てが、遅すぎた。何度嘆けども、貴女はもう戻らない。
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伊黒side
伊「信用しない信用しない」
『わぁ、すごく綺麗な蛇だね。それに、君の瞳もとっても綺麗だ』
誰も信じられず、鏑丸だけがいればいいと思っていたあの頃。
彼奴は一人でいる俺に付きまとっては、鏑丸と俺のことを褒めた。どうせ嘘だ、信用しない。どんな酷いことを言っても、彼奴はそれを辞めなかった。
伊「なぜ俺に構う!お前もどうせ、俺のことを鬼のようだとでも思って、哀れんでいるんだろう!」
『………そんなことないよ』
俺はしびれを切らし、彼奴を怒鳴りつけた。彼奴は一瞬だけあっけに取られた顔を浮かべ、その後すぐに真面目な顔でこう言った。
『小芭内は綺麗だ、私はそれを信じてるし、それを理解しようとしない奴はどうでもいい。でも、君だけは。君だけは自分を好きになってよ』
自分を好きになる。そんなことは、これまで生きてきた中で誰にも言われたことがなかった。俺はその言葉に、胸を打たれたのだ。
それなのに。
伊「咲を傷つけておいてこの態度とは………頭痛がするな」
俺は甘露寺や咲から聞いたことを鵜呑みにし、彼奴を傷つけた。
どれだけ辛かっただろうか。今まで何度も死というものを共にくぐり抜けた友が、自分のことを罵る。考えただけで身がすくむだろう。
彼奴は決して、辛いことを表に出さなかった。それも俺の神経を逆撫でた。
幼稚な考えだ。吐き気がする。
伊「頭痛がするのは、俺の方だな」
いくら自嘲して、自分を顧みれども、彼奴はもう帰らない。戻らない。
あの笑顔を見ることは、もう無いのだ。
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SILK(プロフ) - ツナモソチュロヌさん» 美しい物語だなんてそんな嬉しいお言葉ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 19時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
ツナモソチュロヌ(プロフ) - 美しい物語だと思いました(T_T)更新頑張ってください! (2020年3月8日 18時) (レス) id: 3cb3966213 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 水無月さん» ありがとうございますぅぅぅ( ; _ ; )これからも夢主ちゃんを見守ってあげてください( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 桜さん» ひぃぃ( ; _ ; )こんな作品で泣いていただけるとは嬉しい限りです( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - うりょさん» ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊太利亜 | 作成日時:2020年2月20日 23時