大丈夫。参拾壱 ページ34
『ただい…ま"っ』
義勇を門の前で見送り、邸に入ると銀が鴉の姿のまま顔に突っ込んできた。
『っだ………痛い…………』
銀「コンナ時間マデ何ヲシテイタンダ！Aノ阿呆！！！！」
『それは…ごめんって』
銀「オ前ハイツモソウダ………」
ネチネチと小言を言われそうになったので、咄嗟に袋を前に突き出した。
『これ！！！！！』
銀「何ダコレハ」
『着物。銀のために買ったの』
銀「俺の…ため？」
銀はさっと人間の姿になると、目をぱちくりさせた。
『今日私が浅草に行ったのは、銀の着物を買うためなの。そこで銀みたいな綺麗な着物を見つけて、』
必死に説明する私を、銀は力いっぱい抱きしめた。
銀「お前って奴は、どこまで………」
『銀？銀、苦しいってば』
銀「うるせぇ…もう少しだけこうさせろ」
仕方がない鴉だなぁ、と思いながらも、私は銀の背中に手を回した。
『銀にはいつも感謝してるよ。私が辛い時そばに居たのは、間違いなく銀だもの。私の大切な相棒』
銀「当たり前だろ、俺はお前に返しきれない恩があるんだ」
『うん…』
しばらく抱きしめあって、気が済んだのか銀はパッと私を離した。
『ほら、着物着てみてよ』
銀「…着方が分からねぇ」
『あー…まだ覚えてるかな』
銀「着せれるのか？」
『まぁね』
私は銀に後ろを向かせて、着物の着付けをした。
良かった。まだ覚えている。
義勇に着付けていたこの手は、まだ。
『…こんなもん、かな』
銀「すげぇ…いい」
『気に入った？』
銀「あぁ。これ、俺の毛の色」
『そうだよ。一目見て、銀の色だなって思ったの』
銀「高かったろ」
『柱はお給金高いの。心配しないで』
いつもは気の強い銀が、何だかしおらしい。それが可笑しくて、つい笑ってしまった。
『ふふっ』
銀「何笑ってんだよ」
『だって、いつももっとガツガツしてる銀がしおらしいんだもの。可笑しくて、ふふっ』
銀「笑うな！！！」
銀が癇癪を起こしたが、すぐにつられて笑い始めた。その日、私の邸では夜にも関わらず大きな笑い声が響いていた。
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そういえば銀について説明してませんでしたね！
ということでAの鎹鴉、銀の設定です！
名前:銀
読み方:ギン
Aが入隊した時から行動を共にしている鎹鴉。最初はAのことが気に食わず、言うことを聞かなかったが、銀が戦闘中に負傷した時自分を庇いながら戦うAを見て、Aに付き従うようになった。今ではAを一番心配しているのは家族のような存在。
終わり
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SILK(プロフ) - ツナモソチュロヌさん» 美しい物語だなんてそんな嬉しいお言葉ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
ツナモソチュロヌ(プロフ) - 美しい物語だと思いました(T_T)更新頑張ってください！ (2020年3月8日 18時) (レス) id: 3cb3966213 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 水無月さん» ありがとうございますぅぅぅ( ; _ ; )これからも夢主ちゃんを見守ってあげてください( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 桜さん» ひぃぃ( ; _ ; )こんな作品で泣いていただけるとは嬉しい限りです( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - うりょさん» ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊太利亜 | 作成日時：2020年2月20日 23時
