大丈夫。弐拾 ページ23
後「あのはこの中に入ってる鬼は、先程の隊士の妹でして、鬼になってから二年以上人を喰っていない、鬼殺隊員として一緒に戦える、と。しかしそれを口頭の説明のみで柱の皆様が納得するはずもなく、もちろん証明しろ、という話になったのです。そこで風柱様があの鬼を三回以上日輪刀で差したくりました」
『産屋敷邸の庭で?』
後「はい………」
御館様になんて御無礼を……そういえば最初の柱合会議も、御館様にとんでもない態度をとっていたが…
後「そして御屋敷に上がり込み…」
『御館様の!?』
後「はい………」
『信じられない………』
後「自らの腕を裂き、鬼の前に突き出しました。風柱様は稀血です。鬼にとってはご馳走…しかしあの鬼は喰いませんでした。風柱様の腕から目を逸らし、そっぽ向いたのです」
『………』
鬼が、風柱の血に耐えた?彼奴の血は、とても強い稀血だ。普通の鬼なら、まず間違いなく喰うだろう。
『……あの二人は、何か違うのかもしれない。ね…』
後「?」
『後藤、ありがとう。柱合会議で柱の前に行ったんだから、精神的にも疲れたでしょ。休んで』
後「はい、そうさせていただきます。失礼します」
一礼して去っていく後藤を見送り、また一人考え込む。
『…人を喰わない鬼。………そんな者がいるなら、きっと鬼舞辻は間違いなくその鬼を追う…』
し「何をブツブツ言っているんですか、Aさん」
『あっ、しのぶ』
いつの間にかしのぶが帰ってきていて、私の横に座っていた。
し「なほから聞きました。私を探してたんですか?」
『あ、そうそう。カナヲのことで』
し「カナヲのこと?」
『あの子、私が話しかけると必ず銅貨を投げるの。なんで?』
し「あぁ、それは…カナヲは自分で判断が出来ないんです。自分で何一つ決められない。そんなカナヲを見た姉が、これを投げて決めたらいいじゃない、って」
『あはは、カナエらしいね。どうせ、カナヲは可愛いから大丈夫よ!とか言ってたんでしょ?』
し「大正解です。さすがの私も呆れましたよ」
苦笑しつつ、少し穏やかな表情になるしのぶ。
『しのぶ、あの隊士と鬼のことだけど』
し「あぁ、竈門くんたちのことですね」
『あの二人は、鬼舞辻を追い詰める鍵になる。…なんとなくだけど、そんな気がしてる』
し「………姉は、鬼と人が仲良くできる。そんな世界を本気で望んでいました。彼らならそれを叶えてくれるでしょうか」
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続きます
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SILK(プロフ) - ツナモソチュロヌさん» 美しい物語だなんてそんな嬉しいお言葉ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 19時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
ツナモソチュロヌ(プロフ) - 美しい物語だと思いました(T_T)更新頑張ってください! (2020年3月8日 18時) (レス) id: 3cb3966213 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 水無月さん» ありがとうございますぅぅぅ( ; _ ; )これからも夢主ちゃんを見守ってあげてください( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 桜さん» ひぃぃ( ; _ ; )こんな作品で泣いていただけるとは嬉しい限りです( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - うりょさん» ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊太利亜 | 作成日時:2020年2月20日 23時