大丈夫。壱 ページ3
胡「はぁ、本当に嫌気がさしますねぇ」
『何が？』
胡「貴女との合同任務なんて。咲さんとならよかったのに」
『御館様の指令だから』
胡「わかってますよ」
今日は蟲柱との合同任務。私だって嫌だけど、御館様に迷惑はかけたくない。
『私は東に行く、貴女は西へ』
胡「何故貴女が仕切っているのでしょう…？まぁいいです。あぁ、弱いんですから精々死なないように気をつけてくださいね。貴女が死んだところで、何も変わらないですけど」
『…うん』
嫌味を言う蟲柱と別れて、鬼共を斬る。私はあの日から………鍛錬を欠かしたことなどない。その日々に比例するように、私は強くなった。
『歌の呼吸、壱の型。緩歌慢舞』
鬼「ぐぁっ………」
『………粗方片付いたかな』
最初の場所に戻り、蟲柱を待つ。私が柱の名前を呼ばないのは、今の柱たちを仲間だと思っていないから。………今までは、皆名前で呼びあってた。
胡「あら、お早いお戻りですねぇ。鬼にも、弱い人はわかるんですかねぇ。弱い者は、食べたって力になりませんから」
『………そう』
胡「はぁ………そんなんだから嫌われるんですよ」
私はその言葉を無視して、真っ直ぐ屋敷に帰る。屋敷に誰がいる訳では無いが、柱たちといるよりは、心が安らぐ。
『ただいま』
冨「おかえり」
『義勇！居たの？』
冨「あぁ。今日は胡蝶との合同任務だったからな。少し心配だった」
『そっか。でも大丈夫、何も無かったよ』
冨「そうか」
屋敷に帰ると、居間に義勇が居た。義勇とは幼馴染で、あの女とのことがあってからも、私の味方でいてくれる二人のうちの一人だ。
冨「………」
『………』
家にいる時も義勇の屋敷にいる時も、お互い何も喋らないが、この静かな空間が好きだったりする。
冨「長居した。そろそろ帰る」
『そう、気をつけて』
冨「あぁ。何かあったらすぐ鴉を飛ばせ」
『うん、ありがとう』
義勇を見送って、手紙を書く。懺悔の手紙。これを書かないと、私の生きる意思を保つことが出来ないから。だから今日も、静かに筆を執る。
『おやすみなさい、母さん、珠美』
今日も永い一日が、終わる。
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SILK(プロフ) - ツナモソチュロヌさん» 美しい物語だなんてそんな嬉しいお言葉ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 19時) (
レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
ツナモソチュロヌ(プロフ) - 美しい物語だと思いました(T_T)更新頑張ってください！ (2020年3月8日 18時) (レス) id: 3cb3966213 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 水無月さん» ありがとうございますぅぅぅ( ; _ ; )これからも夢主ちゃんを見守ってあげてください( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - 桜さん» ひぃぃ( ; _ ; )こんな作品で泣いていただけるとは嬉しい限りです( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
SILK(プロフ) - うりょさん» ありがとうございます( ; _ ; ) (2020年3月8日 11時) (レス) id: 7fc337c787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊太利亜 | 作成日時：2020年2月20日 23時
