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story352 ページ14

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リシス「もう一度聞くぞ、本当に残るつもりかよゼノ」


ゼノ「あぁ、お妃様や王子達も放っとけねェし。
しばらく神官の真似事でもして城のヤツらを宥めておくよ」




あれから、リシスはゼノに何度も問いかけた。
本当にここに残るつもりなのかと。
しかし、ゼノの答えは変わらなかった。やがて…リシスも諦めたかのように笑う。

なんだかんだ、頑固なんだよな。
今まで共に過ごしてきたのだ、それは分かりきっていることだった。




ゼノ「だからお前らは気にせず行けよ、王子が成人したら俺ものんびり出てくから」


グエン「……そしたらお前、俺んとこ来い」


ゼノ「え…」


グエン「城から出たら俺んとこ訪ねろ!な!
待ってるぞ、何年でも、ジジイになっても」




ゼノは驚いたような表情をして……
少しの間の後、どこか悲しそうに頷いた。




シュテン「俺んとこには酒持ってこいよ」


ゼノ「緑龍どうせじっとしてねェだろ」




ふと、ゼノの目線が目隠しをしたアビへと向く。
ゆっくりとアビに近づくと、"青龍"と呼んだ。




ゼノ「最後に眼を見せて、……アビ」




"青龍"、ではなく"アビ"と自分の名前を呼ばれると……
アビははらはらと涙を流した。
目隠しから涙がしたっていて、ゼノはそれを外して優しくこぼれ落ちる涙を拭った。




ゼノ「あーあ、キレイな目が腫れてんぞ。
おー、名前で呼んだ方が良かったかアビ」


グエン「アビ」


シュテン「アビちゃん」


アビ「ちゃん付けするな!」


リシス「ははっ、お前らほんとに仲良いな」




この光景も今日で見納めかと思えば、少しばかり感慨深い気持ちになった。
リシスは今まで過ごしてきた城を見上げ……ひとつ、小さく息を吐いた。

この城に来た日のこと。
今でも鮮明に思い出せる。
目を閉じれば…こいつらと出会った日のことが浮かんでくる。

ここには……思い出が、ありすぎる。




グエン「リシス」


リシス「!」




グエンに呼ばれて振り返る。
そこでは4人がぐっと肩を組んでいた。
そして、お前も入れと言わんばかりにグエンとシュテンが片腕を広げている。

リシスはその光景にははっ、と笑うと…両手を広げてその輪の中へと飛び込んだ。




リシス「いいのかー?私は四龍じゃないぞ」


シュテン「そりゃお前が隠してきたからだろ」


グエン「隠してなきゃ、五龍って呼ばれてたかもな」




五龍…それも悪くなかったかもな。
なんて冗談めかして笑いながら、リシスは回した腕にギュッと力を込めた。

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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - 晴幸@社会不適合者さん» ありがと〜〜!最近この小説書くのが楽しくて頑張ってます…笑 これからもご愛読のほどよろしくお願いしま〜す! (2021年3月16日 21時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
晴幸@社会不適合者(プロフ) - 何時読んでも良いね、更新愉しみに待機して居るね、これからも。大変だろうけれど、せっちゃんの速度で更新すれば良いと思っているよ。 (2021年3月16日 11時) (レス) id: d3defbd144 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ソラさん» ありがとうございます!更新はスローペースかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2020年11月11日 22時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます!大好きな作品だと言っていただけると励みになります…!これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2020年11月11日 22時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 応援してます!頑張って下さい!! (2020年11月11日 21時) (レス) id: 59bc6ae80d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2020年11月10日 19時

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