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ゼノ「おおーい、みんな、早く来いよ」
それは、雪の降る日の出来事。
ゼノ「いい朝だぞ、皆が起きて来る前にとっとと行っちまえ」
シュテン「さびィんだよ」
ゼノ「わはは、若さがねェな、緑龍」
シュテン「うるせ、お前が変わらなすぎなんだよ」
ゼノ「へへへ」
外套を羽織り、龍たちは雪の降る中外へと出る。
まだ朝が早いこともあり、辺りは静かで…雪には足跡一つついていなかった。
ほう、と息を吐けばそれは白く染まり…やがて目の前の景色に溶けて消えていった。
グエン「黄龍…お前、本当に城に留まる気か?」
………あれから、緋龍王は国を平定したが、小さな争いの火種は常に燻っていて、王が亡くなってからも龍は争いに駆り出される事が多かった。
そして数日前、龍の力を狙う者達に青龍は捕らえられてしまった。白龍と緑龍が助けに行って事無きを得たが、それ以来青龍は目を隠し、緋龍王の廟に入り浸るようになっていった。
今は、龍の存在が争いの火種となりつつある。
.
「そんな白龍様!
城を出て行かれるなんて嘘でしょう!?」
「緑龍様!我々にはまだ貴方様の御力が必要なのです」
シュテン「聞け、俺らのような力はこの時代には不必要なんだよ。これからは王子を中心とし新たな国を…」
「王子様はまだ幼い!四龍様の存在こそ争いの抑止力としてなくてはならないのです!」
数日前、龍たちはこの城を出て行くことを伝えた。
しかし、いくら宥めても城の者たちは引き下がろうとしなかった。
当然だろう、四龍の力は強大で…その力を進んで手放そうとする者などいないのだから。
それに加えて自分たちを癒す力の持つリシスまでもが城を出て行くなど…受け入れるはずがなかった。
「俺が残る」
突然響いたその声に、全員が振り返る。
ゼノ「俺がここに残って皆を守るから、安心しろ」
しかし、今まで戦の前線で戦ってこなかったゼノがそう言っても……民は一様に不安を吐露する。
ゼノ「この龍の紋章は緋龍王が天界より賜り俺に託された。即ち俺は王の遺志を受け継ぎ、天の声をお前達に伝える者。
天界の声に帰依すれば、お前達の平穏は決して乱される事はなく、乱した者へは罰が下るであろう」
「黄龍様…」
「黄龍様が我々の神官様になって下さる…!」
ゼノを崇める民とは正反対に……
その場にいる龍達は驚きを隠せていなかった。
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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - 晴幸@社会不適合者さん» ありがと〜〜!最近この小説書くのが楽しくて頑張ってます…笑 これからもご愛読のほどよろしくお願いしま〜す! (2021年3月16日 21時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
晴幸@社会不適合者(プロフ) - 何時読んでも良いね、更新愉しみに待機して居るね、これからも。大変だろうけれど、せっちゃんの速度で更新すれば良いと思っているよ。 (2021年3月16日 11時) (レス) id: d3defbd144 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ソラさん» ありがとうございます!更新はスローペースかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2020年11月11日 22時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます!大好きな作品だと言っていただけると励みになります…!これからもご愛読のほどよろしくお願いします! (2020年11月11日 22時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 応援してます!頑張って下さい!! (2020年11月11日 21時) (レス) id: 59bc6ae80d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2020年11月10日 19時