story446 ページ20
ユリカside
ユン「あ、おかえり。雷獣は？」
ユリカ「ハクなら出かけたわ。
多分…風の部族の人にでも会いに行ったんじゃないかしら」
羽織っていた外套を近くにあった木にかけて、焚いてあった火の前に腰を下ろす。
手をかざせば、温かな熱が手に伝わってきた。
ユリカ「ヨナ、水浴びの後は冷えるから温まったほうがいいわよ」
ヨナ「……そうね」
しばらくハクの向かった先を見つめていたヨナに手招きをすれば、私の隣に腰を下ろして同じように火に手をかざした。
ユン「はい、ゆず茶。ユリカにも」
ヨナ「わ、ありがとう」
ユリカ「ありがとう」
二人揃ってユンのくれたゆず茶を口に入れる。
ふわりと香るゆずの香り、体の芯から温まっていくような感覚がした。
……とても、温かくて美味しい。
ユリカ「それじゃあ…聞きましょうか」
ヨナ「え？」
ユリカ「さっきの話の続きよ。
ハクと…何かあったんでしょう？」
ジェハ「あぁ、やっぱり何かあったんだ」
ヨナ「な、何も……」
何もない、そう言いかけてヨナは口をつぐんだ。
何かあったことは、ヨナ自身が一番よくわかっているはず。
だけど……それをどう言葉にするべきか。
ヨナはずっと、悩んでる。
ヨナ「……私、どうすれば良かったのかわからなくて」
ジェハ「ゆっくりでいいから話して」
ユリカ「ここにいるみんな、ちゃんとヨナの話を聞いてくれるわ。些細なことでもいいのよ？」
戸惑いに揺れるヨナの瞳が私の姿を映す。
それは…まだ、幼い少女のようで。
ううん、ヨナはまだ幼い女の子なのだ。
戦場に立つ凛とした姿を見ると忘れてしまいそうになるけれど……まだ16歳の女の子。
そっとヨナの手に手を重ねれば、その手が握られる。
そして、大丈夫と…私はヨナに笑いかけた。
ヨナ「…………ハクにね、許嫁がいたの」
ジェハ「うん……ん？」
あまりに突然、さらっと言うものだから思考が停止してしまう。
ハク…に、許嫁？あのハクに？
幼い頃からヨナの側にいて、見るからに昔からヨナに片想いしてましたって感じのあのハクに？
空いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 645人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - nanaさん» 長かったでしょうにここまで読んでくださりありがとうございます…！更新はゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします！ (2023年2月27日 19時) (
レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
nana - すごく読みやすくて、ここまで一気に読んでしまいました！続きも楽しみにしてます♪ (2023年2月25日 21時) (レス) @page38 id: fcdee50502 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - 華音さん» いつもありがとうございます。誤字の方は訂正させていただきました。 (2023年2月8日 17時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - お久しぶりです。最新2話分読ませて頂きました(*^^*)ですが、458頁目のハクの台詞に誤字が一箇所御座いましたので^^;ご報告を！！火の部族の兵士達に囲まれてしまった辺りのシーンです。それでは、次の更新を楽しみにしております(*´∀｀*) (2023年2月3日 17時) (レス) @page33 id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - 由利さん» ありがとうございます！更新はゆっくりかと思いますが、これからもご愛読のほどよろしくお願いします！ (2022年10月31日 19時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セレーナ・ラフィーネ
| 作成日時：2022年2月23日 19時
