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第43話 ページ45

「いいか、俺らは龍の血を持つきょうだい。
その身は遠く離れても血で呼び合う。
緋龍は天に還られた、いつか俺らも天に還る。
魂は繋がり巡る、龍の血は、緋龍との絆は、決して消えない」




龍の血の繋がりなんて、昔は鬱陶しいだけだったのに。
ここにきてから自分は変わったと、我ながら思う。

グエンの言葉にすっ、と口角を上げると……リシスは一言呟いた。




「守護龍の加護を」




その瞬間、淡い光が全員を包んでいく……
それはこの城で何度も見た光。
リシスが放つ光は自分たちを癒し…幾度となく自分たちを救ってくれた。
ほぅ、と灯る光は温かく、とても優しい。

たっ、とリシスが円の中から抜け出すと、不思議に思った4人がリシスを見つめる。
そして、リシスはゆっくりと口を開いた。




「守護龍と破壊龍は…四龍とは異なる存在だ。
その証拠に、私はお前達の気配を感じられない」




だからきっと、お前らがどこにいるかは私にはわからない。
リシスはそう言って少し悲しそうに笑った。




「お前らにこれから何かあってもその加護が守ってくれるように……私が贈る、最大級の加護だ!
ありがたく受け取れよ!」




冬の寒さなど打ち消すほどの笑顔に、つられて4人も笑った。
光が、優しく龍達を包み込んでいる。




「安心しろ、見つけられなくても俺の方から会いに行ってやる」


「ま、俺も気が向いたら会いに行ってやんよ」


「きっと会える」




そう言ってくる3人に目頭を熱くさせていると、ゼノがぽんぽんとリシスの頭を撫でた。




「……なんだよ、ゼノ」


「いや?しおらしくして、リシスらしくねぇなーって」


「んだそれ、悪かったな普段しおらしくなくて」




目を細めれば、涙が一粒溢れる。

お前たちと一緒で…なんだかんだ楽しかったよ、ありがとう。……なんて、絶対に言ってやらねぇけどな。
そんなことを思いながら、頬を濡らした涙をグイッと拭う。

最後の最後まで笑顔でいると決めた。
涙なんて…見せてたまるものか。
リシスは…ずっとずっと、強がりだった。




「んじゃ……またな、お前ら」


「あぁ。またいつか逢おう、きょうだいよ」




龍たちは、それぞれの道を歩き出した。

そして神話の時代からその血は受け継がれ……
龍たちが王のもとに再び集うのは何千年も未来の話。

第44話【終章:次代の龍たち】→←第42話



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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2022年2月23日 19時

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