守護の力を、破壊の力を〜外伝〜【暁のヨナ】 (ページ14)

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第12話ページ14

「んにしても、あんだけ探したのに見つかったのは守護龍だけか」

「……破壊龍なんて、全然見つからなかった」

「なぁ、王様。
その破壊龍ってのも本当にいるの？」

四龍たちは緋龍王に守護龍、そして破壊龍を探すように言われていた。
その命を受けてから数日間、国中を探したが…結果見つかったのは守護龍のみ。
本当にいるのかと疑ってしまう気持ちもよくわかった。

「破壊龍、探してんの？」

「……あぁ」

「それ、私のことだけど」

しばらくの沈黙が流れ、"……は？"という間の抜けた小さな声だけが聞こえた。
意味がわからない、と言った様子で目を見開く四龍を目の前に、リシスはニンマリと口角を上げた。

「だから、破壊龍は私のことだって」

「……は？」

「"は？"しか言えねぇのか、お前らは」

「だってお前は守護龍で……」

「あぁ、確かに私は守護龍から血を授かった者だ。
そして…それと同時に破壊龍から血を授かった者でもある」

「つまり……？」

「私は二つの龍から血をもらった…というか、勝手に与えられたんだ。ったく、いい迷惑だよ」

銀色の龍と黒色の龍。
あの時、リシスは二体の龍から血を授かった。

全てを守る守護龍と、全てを破壊する破壊龍。
似ても似つかない二つの力。
対極にあるといっても過言ではないこの力は、まさに矛盾の力。

「おま、そんなの一言も…」

「聞かれなかったし」

「だとしても…」

「あーもう、今言ったんだからいいだろ。
いちいち気にすんなよ、うっせぇな」

面倒そうにリシスは頭をかく。

そもそもこんな力ほしくなかったのだから、自分から力をひけらかそうとも思わない。
守護龍の血を持つ者だと教えたのだって、力を使っているところを見られたからであって……自分から進んで言うつもりはなかった。

「よかったなぁ。
お前らの求めた龍が二体同時に見つかって」

リシスは笑う。
しかし、それはどこか冷めたような…そんな笑みだった。

お前たちにとって、龍の血を持つ者が見つかったのはいいことなのかもしれない。
しかし、自分にとっては違う。
まるでそう言っているようだとすら感じた。

「あぁ、そうだ。
この城では私が龍の血を持つ者だってこと言うなよ」

「……なんで？」

「目立ちたくねぇんだよ。
無理矢理連れてきたんなら、それくらいの配慮はしてくれ」

ゆらり、銀色の髪が揺れる。

彼女は、四龍たちとは全然違う。
それがある意味新鮮であったし、面白くもある。
緋龍王は部屋で騒ぐ龍たちを見ながら、笑みをこぼした。