傷弾の鳥【出水公平】 (ページ27)

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25話ページ27

Aside

『ぅ...』

目を開けると、白い天井が目一杯広がっていた。
ピッ、ピッという無機質な機械音が静かな部屋で鳴り響いている。

『っ...、』

起き上がろうとしたが、腹部から鈍痛が走り元の位置に戻ってしまった。しかし、起き上がろうとしたことで気づいたことがある。

『出水...？』

「.....」

私の膝の上でスゥーと、静かな寝息をたてて寝ていたので返事はなかった。しかし、状況に反して出水の右手はしっかりと私の左手と繋がっていた。

夢の中で手を伸ばしたとき、誰かが掴んでくれた感触がしたけど、もしかして出水....？

『全く...夢の中まで助けに来るとか。どれだけお節介なヒーローなの、バカ。』

「ん....A？」

あ、やば。起きた。

「っ、A！！起きてたのか！えっと、医者とか呼ばねえと、あ！太刀川さんにも連絡！」

『出水、落ち着いて。』

「落ち着いてられるか！お前、どんだけ寝てたと思ってんだ！！」

『えっと、2日くらい？』

「5日だ！このド阿呆！」

出水は私に対して少々怒ったように言うと、病室を出ていってしまった。たぶん、医者を呼びに行ったんだろう。

それにしても、5日も寝ているとは思わなかった。病室の机にはお花やぬいぐるみ、あとは誰が置いたかは言わずもがな、ぼんち揚が置いてあった。

寝ている間に、知り合いのボーダー隊員が来てくれていたことが少しだけ嬉しかった。できれば、元気に挨拶したかったなあとは思ったけれど。

病室の扉が開き、出水と私の担当医であろう人がこちらに歩いてきた。腹部に大きな怪我があったから跡は残るが、後遺症はないこと。あと、2週間ほどは入院するようにということだった。

ボーダーをやめるようなことにならなくて良かったと安堵した。ボーダーでやりたいことがあるから、まだやめたくはない。

一頻り説明が終わると、医者はお大事にと病室を出ていった。出水も先刻まで座っていた椅子にドカッと座る。

『ねえ、出水。あの女の子は...。』

「ちっとは、自分の心配しろよー。」

『命懸けで守ったんだから気になっても仕方ないでしょ。』

「はいはい。....あの子は記憶処理されたよ。子供には少し刺激が強すぎるからって理由で。」

『...そっか。』

当たり前の処置だ。あの齢で血生臭い光景を見る必要なんてないんだから。

でも少しだけ気になっていることはあって。
私を探していたあの子は何者だったのかななんて。

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