及川徹は本音を言えない。【HQ】 (ページ6)

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「マッキーやっほー!!」

「おう……」

「んだ、何かテンション低いな」

岩ちゃんの言う通り、マッキーは少しテンションが低い。いつもは「やほーす、てかさっきぶりじゃね」とか言って、ツッコミ入れるはずだけど。

「どったの？」

「……お前さ、何か小柄で吹奏楽部に居そうな可愛い女の子…知らね？」

小柄で、吹奏楽部に居そうな可愛い子…

「な、なにそれ？？誰？」

こういう聞き方をするってことは、俺に何らかの関係がある子なんだろう。

けど…全く誰だか分からない。

ていうか、吹奏楽部にいそうって何？
ちょっと意味が理解出来ない。

「えー……分かんない…」

「そうか…ならいいんだけどよ」

マッキーは、諦めたようにごめんな、と謝ると、思い出したように

「あんま……女の子に未練買うなよ？」

と、バカにしたように言ってきた。

✱✱✱

「…あー、おはよ」

隣の奴が、俺に軽い挨拶をしてきた。

結構、隣の奴は礼儀が正しく、授業中も背筋をしっかり伸ばし、ノートは綺麗に取り、寝ずに受けている。

「…ん、はよ」

俺は、隣の奴を心の中で尊敬しながら、返した。

「今日も朝練？試合でもあんの？」

朝練の必要性が分かっていないのか、隣の奴はそう聞いてくる。

俺はそんな質問から、コイツは文化部にしか入った事がないんだな、と思った。

「試合はないけど…別に理由はないんじゃない？」

「理由無かったら朝練行かなくて良くない？」

…たしかに。

朝は眠いし、だるいし、身体なんて動かないし。

…でもな。

「強くなりたいから…じゃないの」

負けたくない、って思うし。