em…痺れるほどの甘さ(前編) ページ39
エミさんの朝は早い、寝起きを見ることなんてほとんどできない。
クイーンサイズの大きなふかふかのベッド、ふわふわのお布団に包まれて、気持ち良い陽光と優しい声が私を揺り起こす。
「…Aさん、Aさん」
「ん…おはようございます、エミさん」
「はい、おはよう。Aさん、ゆっくり眠れました?」
「はいっ」
「顔洗って歯磨きしといで?もう朝食できとるから」
私の頭を優しく撫でて、おでこにキスをして寝室を出て行くエミさん。
ころんと寝返りを打ち、エミさんが寝ていたであろう場所に顔を埋める。
ちょっとだけ、鼻から息を吸ってみる。
「む〜っ!!」
この幸福感どうしよう!!と足をぱたぱたぽふぽふ。
まるで執事みたいな紳士、大好きな彼氏のエミさんは朝からパーフェクトなのだ。
「Aさん?二度寝してませんか?」
「ひゃいっ!す、すぐ行きます!!」
整理整頓の行き届いた広いリビング、大きな窓から差し込む光を浴びてエミさん手作りの朝ご飯を食べる。
「エミさんのご飯、美味しいですっ」
「ははっ、まぁほら俺、１人暮らし長いですし。外食ばっかりやと太ってまうし、栄養考えたら自炊した方がええんよね。あと１人で食える店探さんでええし。あ、今はAさんがおるからどこで食べても美味しいんやけど!!」
「ふふっ、私もエミさんと一緒にご飯食べるといつもより美味しく感じます」
頼り甲斐のある紳士かと思えば、こうやってテンパってちょっと抜けてるとこもあって、私は逐一そのコロコロ変わる姿にキュンキュンしてしまう。
でも時々心配になる。
私の前では常にパーフェクトな彼氏でいてくれようとするエミさんは、たまに無理をする。
仕事がどれだけ忙しくても、私との時間だけはしっかり確保しようとしてくれる。
それは嬉しいけど、その分エミさんの体に負担がかかっている気がして、私は心配でならない。
「…エミさん?」
「ん?どうしたん?」
ソファに座って本や紙の書類に目を通して、険しい顔で目頭を押さえるエミさんに声をかけると、彼は私の顔を眉を潜めた笑みで見上げる。
その顔が、心配なの。
「無理だけは、しないで下さい」
「ははっ、大丈夫。そんな心配せんでも、自分で限界は把握しとるつもりやから」
そう言って私の手を摩るけど、エミさんは分かってないよ。
余裕がなくなってるから、敬語の癖が抜けてしまってる。
「…エミさん!!」
「はいっ?!」
「私は彼女です!甘えたくなったら甘えて下さいっ!!」
「…え?」
em…痺れるほどの甘さ(後編)→←zm…その甘さ病みつき(後編)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 895人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芝谷
| 作成日時：2019年11月6日 19時
