キス魔なあの子は優等生【竈門炭治郎】

37 おめでとう ページ38

炭治郎side


今日の朝、宇髄先生に挨拶したと思ったら
「最近の恋事情はどうだ？」なんて言われたので俺は職員室で口止めをさせようとした。
なのに冨岡先生以外の先生は気づいていたと言うのだ。

そして宇髄先生は冨岡先生にばっちり俺とAの関係を教えていた。


「誰か俺を呼んだか」

「冨岡先生……！」


俺の方にずんずんと近づいてきてピアスをまた奪われるのではと思い、
俺はとっさに耳を手で覆う、必死のピアスをしてないアピール。
と思ったら冨岡先生は俺とAを見たのち、


「おめでとう、結婚式にはぜひ呼んでくれ」


と言ってその場を後にした。
俺もさすがにその一言には今まで以上に焦ってしまう。
冨岡先生もこんなこと言うのかという感情、祝されて照れる感情、
いろんな感情が織り交ざり混乱してしまう。

というかまだプロポーズなんてしていない。
ちらりと隣のAを見れば意識しているのか俯いてしまっている。


「ひ…秘密にしてたんです、この関係」

「秘密にしろうがなかろうが俺たちは勉強に支障をきたさないならどっちにしろ祝すぞ、こんな青春してる生徒を見てるとこっちも楽しいしな」


宇髄先生は派手な机の上のプリントを弄りながらも受け答えをする。

…ここまで先生たちに祝されたり良く言われたりしてしまうと
なんでこうやって秘密にしてたんだろうだなんて思ってしまいそうだ。

どうやら先生はお見通しということだろう。
これは明らかに完敗だった。

いろんな先生ににこにこと祝されて職員室を後にする。
学園内の生徒には絶対言わないと先生たちは言っていた、ぜひそうして欲しい。

付き合っていることや恋をしていることは恥ずかしいことではないけれど、
沢山の人に知られれば知られるほど俺はもっと余裕を無くしてしまう。
そうやって知られるのも見せびらかすみたいであまり好かない。

それに学園内の同級生にはこの関係が知られていないという秘密、
そしてその中で行うキスなどの愛情行為はとても心地よいと知ってしまった。


「なんかごめん、俺はやっぱり嘘つけない性格だしやっぱりばれていた…」

「ううん、先生も祝福してくれてたし冨岡先生もああやって言ってくれてた訳だし…」


照れながらこちらを見てくるA。
俺はさっきの冨岡先生の言葉を思い出してどきっとした。
俺は長男だしいつか絶対プロポーズも成功させる！

心に強く決意し俺は目を閉じる。
もっとAの彼氏としてしっかりした男にならなくては！

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