キス魔なあの子は優等生【竈門炭治郎】

34 大人の味 ページ35

Aside


すごくいけないことをしている気になっていた。
別にそんなことをするわけでもなんでもないのに。

普段あまり黙視していないからか気づくところが沢山ある。
炭治郎の肩が男らしくがっちりしていたり、
肌を触れば意外と筋肉質なのかもと思ったり。

相変わらずカラリと揺れるピアスは色気を倍増させる。

真面目で勉強に前向き、思いやりの心で溢れている炭治郎。
そんな子がこんなにやらしく私を求め、とろけるほどのキスをするだなんて。

……そんな炭治郎は私しか知らない。

ふとそんな考えに至れば、一気に優越感でいっぱいになった。
みんなは炭治郎の真面目なところや優しいところしか分かっていない。
私の前でこんな姿なのかなんて知ったこっちゃない。

こんなこと前から私は気づけているはずなのに。

炭治郎だってそうだ。
炭治郎だけが私のこんな一面を知っている。

いろいろ考えてしまい余計に気分をよくさせてしまっていた。


「大丈夫、ゆっくりやるからな」

「…うん」

「余裕があったら俺のと絡ませて」


口の中に入ってきた感触はぞわぞわとして鳥肌が立ちそうだった。
部屋に水音だけがゆっくりと響く。
炭治郎に腰を触られているからか体が跳ねそうになる感覚に陥る。

これが大人の味。

炭治郎は前回のでコツを掴んだのか上手く舌を歯に這わす。
どこもかもが敏感になってしまったような気がして、
炭治郎のピアスが揺れて鳴る音が水音と混ざり耳に反響した。


「んっ………」


前よりも長い時間キスを続けられるようになった。
でもやはり口周りの筋肉が疲れてきてしまう。


「さっきの体勢になってみてくれ」


そう言って炭治郎は私を上腿に乗るよう要求する。
素直に座ればまた炭治郎を上から眺める形になる。

おかげで炭治郎からキスをするにはしづらい状況になっていた。
これは私からやったほうがいいのかな。

まさか炭治郎分かってやってる？
…深いキスを自分からなんて恥ずかしい。
けど炭治郎が今日はめずらしく甘えただから…。


「炭治郎…」


唇を重ねて上手く口を動かした。
もう口周りの筋肉の痛さだって心地よく感じられるレベルだ。
恥ずかしさに耐えながらもゆっくりとキスをしてあげた。
口を離した後、炭治郎に


「上手だな」


なんて言われたものだから高揚感はいつも以上だった。

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