キス魔なあの子は優等生【竈門炭治郎】

18 一人の放課後 ページ19

Aside


少しもやもやしてしまって昼休みのお昼は喉が通らなかったし一人で食べた。
最初にキスの味の話をした子たちと食べようかと思ったけど、
声をかけるのにも何故か躊躇ってしまった。

でも今日のお昼は炭治郎の家のパンだ。
多めに買っておいて良かった、少し救われた。

冷めても美味しいパンを頬張った。

そっと廊下に目をやると、炭治郎が猛スピードで走っていくのが目に見えた。


「ごめんなさい、冨岡先生！！これは親の形見なのでやっぱり…」

「駄目だ、ピアスを外せ」


わ…冨岡先生に追い回されている。
きっと次の授業まで続くのかも。
昼休みもやっぱり無理か。
こういう時に割って入っても私が変に目立ってしまうし、
逆に炭治郎を困らせてしまいそう…炭治郎には気の毒だけど…。

毎日のように追い回されたりしているし学園では日常化されてるし、
冨岡先生も本当は怒っているわけではない可能性もある。
実はあれが生徒とのふれあいみたいな可能性もなきしにもあらず。
冨岡先生はちょっと他の先生より不思議だもんなあ。

昼休みも無理ならどうしよう。

…放課後に校門前で待ってようかな、炭治郎のパン屋に寄って行くのもいいかも。

…あれ、私って重い？

冷めても美味しいはずのパンが味がないように感じられる。

別にこんなのいつものことじゃないか。
こういう日だってあるんだ、また明日に期待…それでいいんじゃないの？

やっぱり時間を長く感じる。
気分を変えようと思ってペンを走らせた。
授業を真剣に受けてなんとか気を紛らわせた。

放課後になる。
隣の教室を見たらもう炭治郎の姿はなかった。
下駄箱には靴がある、朝と一緒で先生に何か用があるんだ。

…待ってみよう。
会えるかもしれない。

校門前でのんびりと待つことにした。
授業を真剣に受けたからかちょっとうとうとしかける。

待ち始めてから一時間、まだ炭治郎は来なかった。


「おい、地味に何してやがる」


宇髄先生だった。
どうやら今日は宇髄先生が下校指導の担当らしい。
まだ残っている子もいるがそれは先生に用がある人か学習、部活をしている人。


「待ってるんです」


誰を待っているかは軽率に言えなかった。


「…でももう帰れ、女がこれ以上遅い時間にいると親にも心配かけるぞ」

「……分かりました」


抗ってみようかなんて思いもあったが宇髄先生の言葉を素直に聞き入れることにした。

今日はきっとツイてない日だ、そう言い聞かせた。

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