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参 やるせない思い ページ4

炭治郎side


彼女には本当に申し訳ないことをしてしまった。
いや、申し訳ないでは許されない。

でも、時は戻せない。

彼女の親は殺された。
彼女がなかなか帰ってこないからか外に出たのだろうか。

まだ深い夜ではないはずだったのに…!!

悔しい…、救えなかった。
彼女の家族を…。
俺と同じような思いを抱えこれから生きていくと考えると悔しさがよりこみあがる。

俺は彼女が布団の中、眠る姿を見ながら自分の中で葛藤していた。
ちゃんとこの俺の口から言うんだ、現実を。
酷なことだが、言わないと彼女のためにもならない。


「あの…」


悶々と考えてると俺の袖を引く彼女がいた。


「目が覚めたのか!?…良かった、体は痛くないか?」


目が覚めたようだ…。
ホッと胸をなでおろした。


「大丈夫です、ありがとうございます」


彼女も少しは安心したような顔をしている。


「急に驚かせてしまったな、俺は竈門炭次郎、鬼狩りをやっているんだ」

「私はAっていいます…」

「A…、凄くいい名前だな!」


そろそろ本題に入らなくては、胸が痛い。
もう一回彼女に向き合う。

するとふと彼女の匂いが変わった。


さっきは安心した感じの匂いがしたが、今は全てをもう知っているような匂いだ。
だが俺の前では涙を見せたくないのか決して泣かない。
…強がっている、無理をしているのでは…。

両親が死んでしまったこと、それは鬼が襲ってしまったこと…。
言わなくていい、そういう雰囲気の匂いだ。

俺の様子ですべて察してしまったのだろう。
驚くのと同時にまたやるせなさが俺の中に生まれる。

泣きたいなら泣いて欲しい、無理はさせたくなかった。
俺には励ますこと、それくらいしかできることがない。
同じような場面を見た者として。


「Aさん、俺も一緒だったんだ」


ニコッと笑って見せる。
彼女が笑えない状況だとしても。
少しでも安心させてあげたい。
強がらないで欲しい、俺だってそうだった。


「強がらなくていい、泣いてもいいんだ」


彼女は俺の言葉を聞いて涙をぽろぽろと流し出した。
よっぽど辛かったんだろう。
救いたかった。

俺はAさんを抱きしめた。

抱きしめたところで現実は変わらない。


「うっ…ううっ…」


泣き声が静かに響いた。

俺はもっと強い鬼狩りになっていろんな人を助けるんだ、二度と俺と彼女のような
思いをする人がいなくなるように…、悔しさを忘れないように胸に刻んだ。

肆 お茶を飲んで→←弐 鬼退治



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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:恋愛
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年4月3日 18時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 初めまして(^^)炭治郎大好きなので、甘々で炭治郎書いてほしいですー!R18全然okです! (2021年10月6日 20時) (レス) @page33 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - 佳子さん» コメントありがとうございます!R指定されない程度に甘めの話を書きました、読んでくださりありがとうございます! (2020年5月2日 2時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
佳子 - R18系好きです (2020年5月1日 18時) (レス) id: a5a970a27b (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - 桐葉さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます! (2020年1月2日 20時) (レス) id: af6be9856c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふわむにゃ | 作成日時:2019年8月16日 18時

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