弐拾 溢れるのは ページ21
Aside
「炭治郎はやさしすぎるよ………」
思わず涙が頬をつたりそうになる。
「Aっ！？ごめん、俺、泣かせるつもりはなくて…」
「なんで炭治郎はそんなに私に優しいの？」
「………」
沈黙が流れる。
私は炭治郎と目を合わせることができない。
ちょっと怖かった。
せっかくの炭治郎がしてくれたことをこちらも拒否するようで。
「……好きじゃなきゃここまで優しくしないよ」
「え…？」
「わわっ、しみる！！」
「あ、ごめん…！」
思わず手元を見るのを忘れ、炭治郎の照れ笑いを見ていた。
消毒液を出し過ぎてしまい包帯に滲む。
慌てて処置を施す。
また流れる沈黙。
どうしたらいいか分からなかった。
絶対顔が赤い。
鮮血の色により近づいていく赤色。
胸の高鳴りが収まらない、心拍数が上がる。
「……そ、それってほんと？」
別に疑うつもりはなかった。
「うん…好きだぞ、…俺と付き合ってくれないか」
丁度、包帯を巻き終えた。
「…できれば、怪我なんてしてないときに言おうと思ってたんだけどな！」
そう言ってまた笑う。
「兄弟とかそういう意味の家族じゃなくて、夫婦みたいになりたいんだ」
炭治郎は照れているのか顔を少し逸らす。
炭治郎の優しさは温かくて、心地よくて。
ずっと浸っていたくて。
ときどき胸が高鳴るような、浮くような。
炭治郎のことは出会ってから沢山考えてきた。
禰豆子ちゃんを少し羨ましく思ったり、
お守りを貰って毎日のように握りしめて、
……私も炭治郎が好きなんだ。
本当は前から気づいてたのかもしれない。
今ちゃんと分かった。
こんなにも温かくて笑顔にさせてくれる。
「……俺じゃ駄目か？」
やめてよ、それは反則。
こんなにも優しさに浸らせて
そんな顔されたら断る理由は何もない。
心配そうに私の返事を待つ炭治郎が愛しく感じられた。
炭治郎の笑顔が可愛いと思ったことは何回かあったが、
今回は今までで一番そう感じられた。
「駄目なわけないよ、私だって炭治郎が好き…炭治郎がいい…」
もっと優しさに溺れたいし、炭治郎という人間と一緒にいたい。
炭治郎から溢れていた血は包帯によって止めたのに、今度は私から涙が溢れていた。
「…本当か！？うわぁぁ！嬉しい！！」
私の返事を聞いた炭治郎は満面の笑みをしたかと思うと、ぎゅっと抱きしめた。
「大好き、大好きだ…！！」
炭治郎からの抱擁に私は心地よく溺れていくのだった。
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました！ありがとうございました🙇 (2022年4月3日 18時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 初めまして(^^)炭治郎大好きなので、甘々で炭治郎書いてほしいですー！R18全然okです！ (2021年10月6日 20時) (レス) @page33 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - 佳子さん» コメントありがとうございます！R指定されない程度に甘めの話を書きました、読んでくださりありがとうございます！ (2020年5月2日 2時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
佳子 - R18系好きです (2020年5月1日 18時) (レス) id: a5a970a27b (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - 桐葉さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます！ (2020年1月2日 20時) (レス) id: af6be9856c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわむにゃ | 作成日時：2019年8月16日 18時
