もう離れないで【zm】 (ページ7)

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六話ページ7

まさか、ゾムがいるなんて。

「やっぱそうよな、。A...だよな？」

『人違いじゃないですか。』

「人違いな訳ないやろ。元恋人を間違えるはずないやん。」

そう言って寂しそうに微笑む彼。あの日から何も変わっていないゾムを見て思わず涙が出そうになるのを必死に堪えた。
今ここでうんそうだよ。、と答えたら今までの4年間が全て無意味なものになってしまう。
でも、実際にとった行動は頭の中で考えていたものと反対のことで。

『....私だよ。久しぶりだね、ゾム。』

そうひと言だけ呟いた。

「そうやんな、Aやんな。..なあ、なんで急に離れていったん？俺ずっと寂しかったんやで」

『っ、』

Ωの性質のせいだろうか。私は彼のこの顔に弱い。
悲しそうな雰囲気を出しているが、目だけは鋭く相手を見つめている顔だ。

「ん？.....なあ、このちびっ子だれなん。お前の子か」

いつの間にか私のそばにいたロボロに向かってゾムが言った。

『知り合いの子どもだよ。今日だけ私が預かってるの。じゃあ、そういうことだから。』

「あっ、A。」

ロボロを抱っこして彼から離れた。これ以上いたら完全に相手のペースに飲み込まれそうだったから。
なんとかして家に辿り着けた。結局買い物はできなかった。
息子の靴を脱がせて手を洗わせた後、思いっきりソファに腰をかけた。

そして、いろいろなことがありすぎて疲れたAはトントンに電話をかけたのであった。