もう離れないで【zm】 (ページ11)

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十話ページ11

『お、おっもー、、。』

Aは現在スーパーの入り口で大量の買い物袋と戦っていた。トントンの一週間分の食糧、日用品、ついでに自分達の一週間分の食糧を買ったらとんでもない量になってしまったのだ。
今日に限って車は修理に出しているので一人で持ち運ばなければいけない。
途方に暮れていたAに突然後ろから声がかかった。

「あれ、Aやん。」

『ゾム...。』

彼は視線を下の買い物袋に向けたあと、私に向けてこう言った。

「一人じゃこの量持てへんやろ。俺が持ったる。」

そう言い、買い物袋のほとんどを持ってしまった。

『大丈夫だよ。、、って言いたいところだけど今回だけはお言葉に甘えちゃおっかな。』

「はは、そうしとき。ってか家どこなん？」

『ここから十何分間か歩いたところ。...でも、今ヒートのこの面倒見てるから家のすぐ近くまででいいよ。』

「ん、わかった。」

こんな会話、四年ぶりだ。だが四年も話していないとは思えない会話のスムーズさにAは驚きを隠せない。

二人で一緒に話しながら歩いていると、ふと急に思った。

ああ、好きだな。

と。ほんとに急だった。が、ゾムと会ってまた気持ちが大きく膨らんだ気がしたのだ。

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『ただいま。』

ゾムと別れてなんとか荷物を一人で運び終わりリビングへ向かうと、ソファに寝転びテレビを見ているいるトントンがいた。

『もう体平気とは、、。相当やったんだね。』

「な訳あるかアホ。まだまだ体はだるくてしゃあないわ。でもな、この歳になってくるとずっとベッドにおるのも辛くなってくるんよ。」

『分かるわあ。』

このとき、老いの怖さを改めて知ったトントンとAであった。