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2人分の息遣いだけが響く部屋で、先程まで私は仁と身体を重ねていた。
とっくに許容量を超えた快感をなんとか受け止め、上がってしまった息を整えるのに必死になっていると、顔中にキスをされる。
『はぁ…っ、じん…?』
「ん…、A、好きだ…。」
『私も、仁のこと好きだよ、大好き…、』
その大きな背中に腕を回して引き寄せて、身体を密着させると、伝わってくる体温と鼓動が心地良くて。
さっきまで少しばかり激しくされていたのもあって、眠気がやってきてしまった。
『ふぁ…、』
「眠いか?」
『ん、ちょっと…。今何時?』
「…12時越えたばっか。明日も仕事だったよな、寝るか?」
『んーや、もうちょい仁と起きてたい…。』
「…そっか。水持ってくるからちょっと待ってろ。」
私の頭を軽く撫でてから仁は部屋を出ていった。
昨日は、仁の誕生日だった。
プレゼントに用意したネックレスはお気に召したようで何よりだ。
ついでに誕生日だから何か1つ我儘を聞いてあげるって、言ったら、今夜は一緒に過ごしたい、だって。
断る理由なんてないから当然こうして私の家で一緒に過ごしている。
「ほら、水。」
『あ、ありがと。』
コップを受け取り水を飲むと、私の横に座った仁から声がかかった。
「…悪い、ちょっと今日タガ外れた…。身体平気か?」
『へーき。…気持ちよかった、し。』
「っ、そうかよ。なら、いい。」
少しの間沈黙が流れる。
ちびちびとコップの水を飲んで恥ずかしさを誤魔化していると、頬に手が添えられた。
『…仁?』
「なあ、A。」
『うん?』
「また、来年も昨日みたいに祝ってくれるか?」
そういう仁の瞳は不安げに少し揺れていて。
あ、また…、と思うよりも先に、今回は微笑みが浮かんだ。
そんなの、私からしたら愚問だね。
コップを置いて、仁の手に自分の手を重ねた。
『…ふふ、なぁに当たり前のこと聞いてるのさ。来年も、再来年も、その次もいつまでも盛大に祝ってあげる。まだ今年分も祝い足りないくらいだし?』
「…もう今年は十分だ。ほら時間まあまあ経ってんぞ、早く寝るぞ。」
いつもの調子に戻った仁は、私を雑にベッドに転がして、自分も横に寝っ転がって布団を被った。
抱きしめられるとあったかくて、すぐまた眠気がやってきた。
『…あ、言い忘れてたことあった。』
「ん?なんだよ。」
『仁、生まれてきてくれて、私と出会ってくれてありがとう。これからも、よろしくね。』
「…ああ。」
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ふろる(プロフ) - 鶯 御飴さん» コメントありがとうございます。好きと言っていただけて本当に嬉しいです。話もいいところで更新止めてしまって、本当申し訳ないです…。立て込んでるのはなんとかなりそうですので、もう少々お待ちいただけると幸いです。 (3月28日 21時) (レス) @page20 id: b337852acc (このIDを非表示/違反報告)
鶯 御飴 - ふろるさん» そうなんですね…。このお話好きなので少し残念ですが、更新気長に待ってますね。 (3月8日 7時) (レス) @page20 id: 8b7eb4bb5c (このIDを非表示/違反報告)
ふろる(プロフ) - ぽちゃ丸さん» コメントありがとうございます。本作は結構作者の幻覚と捏造が強めなので、好きと言っていただけて嬉しいです。今後もぽちゃ丸様の飽きが来るまででいいので、作者の幻覚に付き合っていただきたいです。 (2月6日 23時) (レス) id: b337852acc (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ丸(プロフ) - ふろるさんが書く作品好きです😌これからも応援してます‼️無理のないよう更新頑張ってください☺️ (2月5日 18時) (レス) @page14 id: f401cfaf3e (このIDを非表示/違反報告)
ふろる(プロフ) - 桜神さん» コメントありがとうございます。ちまちまですが更新続けていきますので今後も読んでいただけると嬉しいです。 (2月3日 21時) (レス) id: b337852acc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふろる | 作成日時:2024年1月24日 23時