【ハンドレッドノート】ホークアイズの名探偵は愛情深いようで。【司波仁】

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無人の事務所で1人待っていると、不意にドアの開く音がした。
「…ただいま、Aいるか？」
『あ、お帰りなさい3人とも！お邪魔してます。』
「おっ、A今日も来てくれたのか！」
『うん、今日も定時退社できたからね。』
というのも、司波に以前「暇なときだけでいいから事務所来い。折角いつでも会える距離にいんだから、会わなきゃ勿体ねえ。」と言われたのだ。
私も司波に会えるのは嬉しいし、3人といると落ち着けて仕事の疲れも癒えるからね。
『…あれ、司波どうしたの？なんか顔色悪いけど。』
「そうなんだ、少しな…。今回の事件は流石に少し堪えたようだ。」
『そんな酷い事件だったんですか…？』
「おう。…詳しくは言わないでおくけどさ。聞きたくもないだろ？」
『うん…。大丈夫？』
苦い顔をしている瑠衣くんにそう声をかけると、黙ったまま頷いた。
司波はまだ杖道さんの陰に立ったまま、頭に手を当ててしんどそうにしている。
司波が顔色悪くするくらいって、相当なんだろうな…。
「…オレ達は、ネストに送信するレポートがあるからさ。仁のこと頼んでいいか？A。」
『うん、いいよ。』
「ほら仁、私じゃなくてAさんの方に…、」
『司波。おいで。』
両腕を広げると、そのまま司波は大人しく抱き着いてきた。
頭を撫でてやると司波からめちゃくちゃでかい溜息が聞こえてきて、少しびっくりする。
『どしたどした、そんな今日大変だった？』
「…胸糞悪ぃ事件だった…。」
『そっか、…よく頑張ったね。』
「ああ…。」
沢山の事件を解決してきたということは、その全部ではなくても遺体を見てきた回数だって多いはず。
たとえそれが知らない人のものであったとしても、かなり精神的に来るだろう。
それでも探偵として頑張っている司波の姿は、すごく格好いい。
心から、誇らしいと思う。
『…司波、えらいね…。いっつも頑張ってて、すごいよ。今日はゆっくり休もう？』
「…ああ、Aも一緒に…、」
『ん、いいよ。一緒に寝よっか。他になんかしてほしいことある？』
こうして甘えてくれるのは珍しいから、できるだけ要望があるなら叶えてやりたい。
「…名前、呼んでくれ。」
『仁。これでいい？』
「もっと。」
『はいはい、仁。今日大変だったね、お疲れ仁。』
「ん…。」
少し仁の腕に込められる力が強くなった。
今日はこのまま存分に甘やかしつくしてやろう。
ちょっとでも仁の心が癒えるように、私は私にできることを。

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