【ハンドレッドノート】ホークアイズの名探偵は愛情深いようで。【司波仁】

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『司波ぁ〜…。』
「んー？」
気の抜けた声で司波を呼べば、これまた気の抜けた声が返ってくる。
ソファに仰向けで寝転がって本を読む司波の上に乗って、ただ司波を見つめている。
こんな風に何もない時間を過ごすのって幸せだよね。
ほんっと司波顔良いな、下から見ても格好いいって真に顔が良い証拠じゃん。
「…A、いつまで乗ってんだよ。」
『んぁ〜？重い？』
「重くは、ない。」
『…その反応重いって思ってたね？』
「ぉわ、思ってないからやめろ…、」
司波の両頬を軽くぺちぺちと叩くと、観念したのか本を置いた。
『ほんとに思ってない？』
「思ってねえよ。…大して軽くもないけどな。」
『ひとこと余計だな〜！もぉ。』
「悪いって…、ほら、これで許せよ。」
今度は私の両頬が掴まれたと思ったら、優しく触れるだけのキスをされた。
まさかキスされるなんて思っていなかった私は、思わず口をはくはくとさせてしまう。
きっと顔は真っ赤になっていることだろう。
『…ま、じで、最近の司波心臓に悪い…っ、』
「あ？…ああ、大切な恋人を大切に扱って何が悪いんだよ？」
『悪くはないけど…、』
にやにやして私の顔を覗き込んでくる司波。
恥ずかしさに耐えられなくなって両手で顔を覆い隠すと、あ、おい隠すな、と声がした。
『隠さないほうが無理！心臓破裂する！！』
「ふ、しねえよ。そんな俺のこと好きか？」
『好きだよ！好きだから無理なの！！』
ほぼヤケでそう言うと、好きと言われて気を良くしたらしい司波が、体勢を変えて抱きしめてきた。
「俺も、Aのこと愛してる。」

『〜〜〜っ…！？』
司波の良い声で、耳元でそう囁かれた。
反射的に囁かれた方の耳を両手で押さえて、司波を睨みつける。
『ばか…！』
「ん？なにがだよ。愛してる、A…。」
『っひ、ちょっと…、！』
そのまま何度も愛してる、好きだと耳元で繰り返されて、キャパオーバーして涙が滲んだ。
ほんとに、これ、やば…、

「たっだいま〜！」
「戻ったぞ、仁。」
突如聞こえてきた声に一瞬で我に返る。
そうだ、ここ事務所…！
「んだよ、タイミング悪ぃな…。」
そう言いながら体を起こす司波。
2人にバレる前にと急いで司波の下から抜け出したところで、いつの間にか押し倒される体勢になっていたことに気づいた。
…もしかして2人が帰ってこなかったら、このまま抱かれる流れだった…？
あったかもしれない展開に1人頬を赤らめながら、戻ってきた2人にお帰りなさいと声をかけるのだった。

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