【ハンドレッドノート】ホークアイズの名探偵は愛情深いようで。【司波仁】

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…え、なにいま、キスされた…？
何事もなかったかのように瑠衣くんの方に戻っていく司波と、いまだ現状を把握できてない私と杖道さんと瑠衣くんと。
とりあえずもう一度司波を見ると平然としていて、今のは私の幻覚かと思ってしまう。
…いや絶対幻覚じゃない！
確かに唇に柔らかい感触したし、司波の顔がすごい近付いてきてたし、リップ音まで鳴ったし…。
ようやく頭が追いついて、顔が熱くなっていく。
『…〜〜っ、司波！』
「うぉ、なんだよA、急にでけえ声出して。」
『ちょ、っとそこに座りなさい！』
「はぁ…？」
『先輩命令！！』
「今は先輩じゃないだろ…、何？」
面倒くさそうにしながら私の向かいのソファに座る司波。
自分がとんでもないことをした自覚はないようだ。
『司波今自分が何したか分かる？』
「あ？Aにキス。」
『じゃあなんで今私が怒ってるか分かる…！？』
まあ半分は怒ってるというより恥ずかしいだけだけど。
怒ってるのは事実。
司波は少し考えた後、拗ねたような顔をした。
「…瑠衣は俺に彼女がいるのが信じらんねえって騒ぐし、Aはおっさんとばっか話してるし、見せつければって思ったんだよ。」
『…はぁ？』
思わず素っ頓狂な声が出た。
なにそれ、半分は嫉妬ってこと？
絆されそうになるのをなんとか踏みとどまる。
「…仁、それでも今のはやりすぎだと思うぞ。」
杖道さんが私の気持ちを代弁してくれた。
司波も自分の行動を反省し始めたのか、バツが悪そうにしている。
『あのね、司波。』
「ん、」
『こんなことしなくても私は司波以外の人に目移りなんてしないよ。司波が私を嫌いにならない限り、ずっと司波が好き。約束する。だから、不安になって焦らなくていいの。』
「…焦ってねえ。」
『嘘つけ。昔から人前でくっつきたがらないくせに、自分からこんな事したのは焦ったからでしょ。』
「…。」
『急にキスされたら驚くし、見られるの恥ずかしいからさ。もう人前ではしないこと。』
「…分かっ、た。悪かった…。」
『ん、偉い。』
頭を撫でると司波は少しほっとした顔をした。
…もう司波が下手な事で不安にならなくて済むように、私も頑張らないと。

「…なあ、Aって仁のこと手懐けてんのな！」
『え？…まあね。』
「どうやったんだよ、あの仁を！」
『あ〜…、ごめん、内緒！』
残念がる瑠衣くんに少し申し訳なくなるけど、でもこれは教えられない。

司波の心の弱い部分は、司波から教えてあげないといけないから。

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