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『瑠衣くん、私の彼女になって!!』
瑠衣くんの手を私の両手で掴んで、自分でも笑ってしまうような告白をする。
これなら明らかに冗談だと分かるし、司波に少しだけダメージを与えられただろう。
「…オレが?Aの彼女ぉ?オレ男だぞ?」
『うん、分かってる!それを踏まえて、彼女になってほしいの!』
「…あっははは!いいぜ、楽しそうじゃん!仁、悪いけどAもらうぞ…、」
ドォン、と司波の方から音がした。
思わず振り返ると、テーブルに手を置いてる司波がいた。
…今のって、台パンの音?なにかが軽く爆発したくらいの音だったけど。
「…いくら瑠衣でも、Aは渡さねえぞ。」
ド低音で呟かれたそれは、確かに私にも瑠衣くんにも届いた。
前髪の間から見える司波の目は、今度こそガチギレで。
「…やっだな、冗談だって!マジでA取る訳ねえじゃん、ははは…。」
声が震えている瑠衣くん。
分かるよ、怖いよね。私も怖い。怖いけど…、
…それ以上に、ときめいてしまった。
そんなに私を取られたくないんだって、実感して。
今まで私が街でナンパされたときも、こんなにキレなかったくせに。
相手が瑠衣くんだとこんなに怒るんだ、瑠衣くんに私が心移りするかもとか思ったのかな。
…こういうところ、可愛いんだよなぁ。司波って。
『…あはは!ごめんね司波、ちょっとタチ悪い冗談だったね。』
思わず笑いがこぼれてしまいながら、司波の頭を撫でてやる。
「…言って良いことと、悪いことってあんだぞ。」
『うん、でも司波も揶揄いすぎは良くないよ〜?瑠衣くんもごめんね、茶番に付き合わせちゃって。』
「いや…、別にいいんだけどさ…。」
茶番の迫力じゃねえよあれは、と呟きが聞こえた。
それは私も思う、ごめんね本当。
目の前の司波はいまだ拗ねた表情だったので、目一杯撫でてやることにする。
「ぅわ、おい髪乱れる…、」
『あとで直してあげる、今は大人しく撫でられなさい!』
「…絶対だからな。」
撫でられることに専念して、気持ちよさそうに目を細める司波は、それはもう可愛い以外の何者でもない。
司波はまだ私が誰かに取られるかもって考えちゃうのか。
こんな可愛い恋人と別れるなんて、到底考えられないのにね。
司波以上に隣が心地良い人なんて、いる訳ないのに。
これは、長い時間をかけてでも私の愛を分からせてあげないと。かつて司波がそうしてくれたように。

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ふろる(プロフ) - 鶯 御飴さん» コメントありがとうございます。好きと言っていただけて本当に嬉しいです。話もいいところで更新止めてしまって、本当申し訳ないです…。立て込んでるのはなんとかなりそうですので、もう少々お待ちいただけると幸いです。 (3月28日 21時) (レス) @page20 id: b337852acc (このIDを非表示/違反報告)
鶯 御飴 - ふろるさん» そうなんですね…。このお話好きなので少し残念ですが、更新気長に待ってますね。 (3月8日 7時) (レス) @page20 id: 8b7eb4bb5c (このIDを非表示/違反報告)
ふろる(プロフ) - ぽちゃ丸さん» コメントありがとうございます。本作は結構作者の幻覚と捏造が強めなので、好きと言っていただけて嬉しいです。今後もぽちゃ丸様の飽きが来るまででいいので、作者の幻覚に付き合っていただきたいです。 (2月6日 23時) (レス) id: b337852acc (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ丸(プロフ) - ふろるさんが書く作品好きです😌これからも応援してます‼️無理のないよう更新頑張ってください☺️ (2月5日 18時) (レス) @page14 id: f401cfaf3e (このIDを非表示/違反報告)
ふろる(プロフ) - 桜神さん» コメントありがとうございます。ちまちまですが更新続けていきますので今後も読んでいただけると嬉しいです。 (2月3日 21時) (レス) id: b337852acc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふろる | 作成日時:2024年1月24日 23時

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