逃亡 ページ1
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
泣き叫びながら謝った。
冷ややかな視線と怒声と罵声が飛び交う。
"貴方のせいで！彼は！！彼はっ...貴方のせいで亡くなったのよ！"
"お姉ちゃん...パパを...パパを返して？"
彼と瓜二つの目で彼女はそう言った...
二度と忘れない。その表情、目...
「お客様？お客様...？ご気分が優れないようでしたら...」
視界には綺麗に制服を着こなした添乗員が私を心配そうに見つめていた。
さっき乗ったばかりなのにもう着いていたようで気付けば周りには誰も座っていなかった。
「ごめんなさい、大丈夫よ。すぐに降りるわ」
「かしこまりました。お出口までご案内致します」
「助かるわ、ありがとう」
そう言えば添乗員は優しく微笑んだ。
空港ゲートから出れば懐かしい人物がスマホを片手に待っていた。韓国の空港も随分と綺麗になった...10年振りともなるとそう感じるのだろうか...
「エマ...遅くなってごめんなさい」
ｴﾏ「A！いいのよ、大丈夫。どう？懐かしの韓国は？変わった？」
「えぇ、なんだか凄く違う国にいるみたいに感じる...変な気分」
ｴﾏ「ふふ、そっか〜とりあえずタクシー捕まえてあるから事務所まで行こうか」
「ありがとう」
彼女はエマ。私の唯一の親友であり、頼れる存在は彼女しかいないと言っても過言ではない。
昔はよく、2人で泣きながら喧嘩したっけ...
ｴﾏ「A...アンタ本当に韓国に帰ってきてよかったの？私はずっと向こうにいると思ってた」
「あー...うん。こっちでも仕事はできるし...それに今はエマと一緒にいたいの」
ｴﾏ「まぁ、話せるようになってからでいいよ。待ってるからね、アンタが本当の事を話してくれるって...」
「ありがとう、エマ」
ｴﾏ「ちょっと、気持ち悪いなぁ〜抱きつかないでよ！」
「ふふ、大好きよ、エマ」
韓国に帰ってきた理由は仕事。
今まではアメリカを拠点に音楽やダンス、演劇映画と仕事をしてきた。
だけど、全て辞めてここ、韓国に戻ってきた。
エマに紹介したい事務所があると紹介された事をきっかけに帰国したのだ。
ｴﾏ「着いたよ」
昔よく通った事務所は変わりなくそこにある。
エマと私が出会った場所でもあるこのSMエンターテインメント事務所...
「懐かしい...」
ｴﾏ「そう？私は毎日嫌でもここに来るからね〜、とりあえず中に入って？案内するから」
「うん」
私は黙ってエマの後に続いた。
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作者名：ヨツユ | 作成日時：2018年6月14日 8時
