幸せ (ページ12)

今日:4 hit、昨日:38 hit、合計:15,493 hit

. ページ12

.

ここに深田と最後に来たのは別れる1週間前

もうその時は別れようって思ってたのかな

「何飲むか決めた？」

『あーこの新作のにしようかな』

「オッケー」

なんて言って当たり前に自分の分と私の分払おうとするから

『自分の分払うよ』

「なんでよ、それぐらい奢らせて

俺が無理に誘ったんだから」

なんであの頃と変わらないそんな顔で

優しく微笑むの？

『ありがとう…』

飲み物が出来上がり席に座ると

「大学どう？」

『まあまあかな深田は？』

「俺もまあまあ、てかその深田って何？」

『え？』

「竜生って呼んでたのに」

なんて拗ねた顔されても…

『呼べないよ、別れたし』

「俺はAって呼んだままだったのに」

悲しそうな落ち込んだ顔をする

そんなの今日会ってからずっとなのに

今更そんな顔してずるいよ

ここに誘ったのも全部ずるい

深田からわたしを振ったくせに

『わたし付き合ってる人いるの

だから大学生活充実してるよ』

「へー、まじか」

なんていきなりだったからか深田はびっくりしてる

強がっただけの嘘なのにズキッと胸が痛んだ

「A、幸せになってね」

付き合ってた頃と同じ優しい顔でそう竜生が笑った

こんな馬鹿な嘘をつかずに竜生と呼べたら

未来は変わっていたのかな？

『深田こそ幸せになってね』

正直になれないわたしは大馬鹿者だ

今わたしは彼と同じ笑顔で笑えてるのかな

_