【HAIKYU】36色の色鉛筆～幸せにしてやりたいんだ２【黒尾鉄朗】Another Story ED-01 (ページ9)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:24,393 hit

幸せにしてやりたいんだ 32 ページ9

第1セット1回目のタイムアウト｡

｢戸美の主将って昔からあんなんですか…!?｣

苛立ちを隠せず鉄朗に食ってかからんばかりの勢いで聞いてくるリエーフに､

｢昔はああじゃなかったけど､猫を被るっつー技を身に付けたようだな｣

と眉を寄せる鉄朗｡

研磨も汗を拭きながら鉄朗の言葉に頷く｡

確かに大将の猫被りは功を奏していて､主審の心象は戸美の方が断然いい｡

｢あれが戸美の作戦なんだからそれに乗って熱くなっちゃダメだよ？｣

私は特にリエーフと猛虎にそう言うと､焦らず粘り勝つしかない…とみんなを励ます｡

大丈夫｡音駒はそう簡単に崩れたりしない｡

粘りの見せ所だよ､鉄朗｡

タイムアウト後､際どいボールをライン上にいる大将がアウトのカウントをして拾わずに見送る｡

線審がINと判断するが主審と協議をして主審はOUTと判断を下した｡

大将に隠れて見えなかったが今の球はINだと思われた｡

鉄朗が抗議するが主審のOUTの判定は覆らない｡

高校にはビデオ判定で正確な判断を行うチャレンジシステムがないため､主審の判定に従い試合は進められていく｡

今のはボールのコースがINかOUTか判定が際どく返球が間に合わなかったため､大将が意図的に線審からボールを隠したのだろう｡

主審の心象はどうしたって戸美の方がいい｡

印象のいいチームの方へジャッジが傾くのはあり得ないことではないからだ｡

大将はそれを狙ってきている｡

これが戸美の戦い方だ｡

卑怯にも見えるし､点を取るための必死の手段にも見える｡

だったら音駒は正々堂々と勝負する｡

戸美とは違うやり方で会場の空気を味方に付ける｡

鉄朗がキャプテンのチームだもん｡

最後に勝って笑うのは私たち音駒だよ｡

みんな…｡

･