幸せにしてやりたいんだ 37 ページ14
〜黒尾side〜
戸美のエース代理の潜は1年ながらも高い技術を持つWSだった。
スパイクのコースを読ませない、読みにくいスパイカーだ。
試合終盤敢えてセッターにファーストタッチさせるべく、研磨に向かってスパイクを打ち込む。
研磨も音駒のレギュラーでレシーブ力は高いので、ボールをしっかり上げるも、問題はセットアップだ。
ここは海か福永か…と思っていたらセットアップに入ったのはまさかの芝山だった。
雄一郎が前いた高校、青葉城西のリベロが使っていた技だった。
リベロがトスを上げられると攻撃の幅がグンと広がるんだ。
研磨は青葉城西のセッターのように攻撃型のセッターではないが、リベロ以外の5人がスパイクに参加できるので、とっておきの切り札とも言えた。
俺は雄一郎がこのセットアップを夜久と芝山に教えていたことを知っていた。
中学時代セッターだった芝山は、この役割をこなすにはやはり適任だった。
きれいにトスが上がり山本がパワー溢れるスパイクを相手コートへと打ち下ろした。
「うぉ…っ、かっけぇなぁ、芝山…」
戸美のヤツらが驚いているのが何とも小気味よかった。
これで音駒はマッチポイントを迎えた。
あと1点取れば全国行きが決まる。
このメンバーでオレンジコートに行くことが出来るんだ。
そして…、
雄一郎に自分の思いを告げるという決意を実行する時が来るんだ。
全国行きを手中にしたチームのキャプテン…。
お前に告白するのにこれぐらいの肩書きは必要だからな。
コートの外から見るみんなの姿が何より頼もしく、そして大きく見えた。
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作者名:Musashi | 作成日時:2017年4月8日 9時