其処に現れる者 ページ46
潮風の匂いと共にたなびく艶のある黒い髪。
平和なひと時。
何も起こらず、静かで詰まらない。
「……こんなとき、なにをしてたっけ？」
記憶の引き出しから、暇な時に行っていた事を次の通りにあげた。
「うたう？」
気分では無いと否定した。
「おどる？」
未だ身体が軋んで痛いと自分自身の身体に少し怒った。
「えをかく？」
此処には紙も鉛筆も無いと落胆した。
「ものがたりをかんがえる？」
今はその気にならないと振り払った。
「ならば喋るのは如何かな？
喋る、第三者がいないと独り言になる。
「わあびっくりした。というか、ロキのこどもじゃ なかったっけ？わたし」
隣に突如として現れた金髪の男、
「ロキの子供？ああ、確かロキは適当に彼女が名乗ったものだと聞いたからな。俺にとっては此方の方が判り易い」
「なんだ。というか、ほんとうに なまえすらいわないのね。あのひとは」
「全くだ。ところで
彼女は否定する訳でも無く首を傾げて考えた。
「きゃくじんにだす おかしは？」
「勿論、最高級の菓子と茶を出してやろう」
「わるくないね。よし、いこう」
「交渉成立だ」
彼女はそのまま、
その一週間後の事である。
「此方、デザートのケーキとなっております」
そう言って白いテーブルクロスの上に差し出される綺麗な白い陶器に綺麗に盛り付けられたケーキがAの前に出された。
次いでに給仕は暖かい紅茶を出してくれる。
「なんでここにいるの？」
「それはこっちの台詞よ。何でアンタが此処にいるのよ」
その給仕は赤毛の三つ編みをしていて、歯には矯正器具と瞳の色は夏に良く見られる新緑の色。
彼女はルーシー、思えば最初の
「貴女、探偵社を裏切ったわけ？情けないわね…。一度までならず二度も裏切るなんて…同じ人間とは思えないわ」
「これがわたし。あきらめて。それよりほかの しごとがあるでしょ。はやくいきなよ」
彼女がフンと鼻を鳴らして部屋から出ていくと、紅茶は渋いと顔を歪めた。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます！ (2023年1月11日 17時) (
レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです！ (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんばし | 作成日時：2020年1月14日 21時
