慰め方 ページ44
太宰が先ずその手に掴んだのは肩、此処を思いっきり引き寄せるとバランスが崩れた。
その間に太宰がその肩を壁に押し付けて所謂壁ドン状態にした。
この動作を行うのに1秒も経ってないだろう。
「……なんですか？」
「首を絞められて、何故君は抵抗しなかったのかい？」
「しなかったじゃなく、できなかったがせいかいです」
「いいや、しなかった。もし大切な人が操られててどんなに傷つけようとも抵抗するのが正しいとは思わないのかい？」
「……おもわなかったですね」
「そうかい。矢張り君にとって敦君はその程度の存在なのだね」
太宰との話の時、彼女は太宰の目など見ていない。
口では勝てない事を悟っており早くこの場を切り抜ける事しか考えていないからだった。
「アナタにはカンケーないでしょう。そのひとのコトをどうおもうが そのひとじしんがきめるコトでしょ？」
「モラルの崩壊した人間が、そんな言い訳染みた事を言うんだよ。仮にあの状況で私が声を掛けて無かったら死んでたんだよ？」
「……わかりました。ダザイさん、ごめいわくをすみませんでした」
太宰から遠ざかろうと壁ドンを潜り抜けようとしたが、太宰がソレを許す筈も無く再び壁に押し付けられた。
「死にたいのか？」
太宰の瞳は真っ直ぐ、そして光を遮断した眼差しで見下ろした。
その声は圧があり、先程とは違い酷く心が抑圧された。
「言え。死にたいのか？」
余りにも普段の太宰とは違う言葉に戸惑いを隠せなかった。
「……どうしてきくんです？」
「私が君に質問を行なっている。「はい」か「いいえ」で応えろ」
「……『いいえ』」
その答えに、最骨頂の不機嫌と無を共にして何人たりともその眼差しで殺せる程の眼差しを向けた。
「……君に良く似た人を知ってる」
太宰はAの腕を引き寄せるとその胸の中に収めて固く抱擁した。
「えっ…」
「
「そういうことではなくて…」
「なら問題無いだろう？」
突然で余りの事にショックを受けた、というか先程よりも戸惑いを覚えてしまい抱擁されたと同時に手が宙に固まってしまった。
「いったい…どうしたんですかッ」
彼女が事の経緯を尋ねると太宰の口からこう言われた。
「その人はね、きっと泣き虫で意地っ張りな子供をこうして慰めるんだ」
酷く力のか細い声で、そう言った。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます！ (2023年1月11日 17時) (
レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです！ (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんばし | 作成日時：2020年1月14日 21時
