遊戯の時間 ページ42
気が付くと、辺り一面が真っ暗闇だった。
「どこココ？」
周りを見渡しても黒、黒、黒、黒。
先すら見えない恐怖が自然と湧いてくる。
だがふとした先で蹲ってる小さい人間を見つけた。
人間は小さな身体を震わせて、泣いていた。
えーん…えーん…。
その声は此処まで響いてくる。
なぜ泣いてるのかと気になり、Aはその子供の元へ歩み寄り声を掛けた。
「どうしたの？」
その少女は彼女からの呼び掛けに気付いて顔を見上げた。
「あれ…。にぃに…？」
その子供は敦と少し似ていた。
子供は徐に見上げて、その子供にAは絶句した。
「如何して僕を虐めるの？」
その少年の目に涙は合っても目玉が無かった。
「如何して僕を虐めるの？」
少年は立ち上がり、Aを追い詰めていく。
「如何して僕を虐めるの？」
小さい子供に翻弄される程、Aは弱くない。
だがこの少年の言葉には何も言い返さず、逆に黙り込んでしまった。
「どうして……如何して？ドウして？どうして？」
「………」
目玉がない分、狂った様に同じ言葉を繰り返す。
恐怖しか湧き出なかった。
「にぃに…。にぃに……」
少年はその手を伸ばすと彼女の首を締める。
「どうして……。どうして……」
首を締める手が徐々に強くなっていく。
「どうして……。どうして……」
見上げてくる涙は血の涙に変わり、しかし彼女は抵抗しなかった。
「如何して僕を虐めたの？」
その言葉に漸く彼女はかえすことばが決まった。
「やーだね……。おしえるもんか……」
首を締める両手は締める強さを変えず、いつの間にか虎と化していた腕が白く細い首を締めていた。
「そのてで、わたしをおわらせてくれる…」
その瞬間、視界が晴れて此処が駅だと認識した。
「あのひとのもとへ……みちびいてほしいな」
その言葉に首を絞める手が緩まる事なく、徐々に力は増していく。
目蓋を閉じてその時を待つ。
「敦君よく見ろ！」
その時は訪れなかった。
太宰が敦を現実へと呼び戻した。
「えっ……」
敦は自分を取り戻すと、己が何を奪おうとしているのか理解した。
敦は手を離して己の目の前にいる存在を只茫然と見つめて己の手を見つめた。
「……そんな…僕は只…皆を守ろうと……」
敦は自身の頭を抱えて目の前で小さく呼吸をしてる身体がボヤけた。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます！ (2023年1月11日 17時) (
レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです！ (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんばし | 作成日時：2020年1月14日 21時
