希う言葉を塞ぐ術(*) ページ31
偶然にもあの時は帽子男と会ってしまい、時間の無駄だったと豪語してしまったが仕方が無かった。
仮にも病人、鈍器で殴られた儘此処まで我慢してきた彼女は服を着たまま床に転がった。
【お願い、お願い…。私を救って…!貴女は、私達の声が聞こえるのでしょ…!?】
その声が何回も鈍痛となって頭の中を駆け巡る。
現在の体調不良はこの声の主であるから、てっとり早く対処しなくてはならないと何度も警告している。
「ちょっと…だまってくれない…?アタマいたい…」
【人を助ける事が貴女達の仕事なんでしょ…!私の願いを…私を救ってよ…!お願い、パパに会わせて…!】
思い出した記憶の中でこんな言葉を思い出した。
___無垢の存在の声は慥かに心を鎮め、その者と寄り添い哀れに思うが同情をするな。
___負の思いは負の連鎖しか産まず、軈てそれは思いでは無く【呪い】となる。
それにこの場合の無垢の存在は純粋な願いが生者の身体に害を成している。
それ即ち生命力を削り取られている事になり、放置すると孰れ死に直結してしまう。
この場合の対処法は思い出した記憶の中に答えがあった。
彼女の力の入らない足はやるべき事を見出し、お風呂場へ向かうと湯船の入った風呂の前で__
頭を突っ込んだ。
「………」
無言の儘、頭を突っ込んだ事に疑問も持たない。
何なら息も止めて苦しさが勝って頭の痛さなど比にならない苦しさを求めていた。
その間に開閉音、因みに風呂場は玄関から直ぐ近い距離にある場所にある。
「ただいま!A、起きて…」
そしてそこから風呂場まで扉があるが、残念ながら閉まるのを忘れていて玄関を少し歩いてふと目線を横に向けたら頭を風呂場に突っ込んでる姿が丸見えだった。
「………?」
一瞬、混乱と思考回路が宇宙に飛躍。
戻ってくるのに五秒程。
瞬きを何回かして、目の前の現実を受け入れた数秒。
「何やってるの!?何やってるの!?何やってるの!?」
両脇に腕を差し込んで引き上げると真っ先にタオルを掻っ攫い頭や顔を拭いた。
「何やってるの!?死にたいの!?」
強く拭いている敦に対して中々口に出せないAは開けようとした口を塞いで取り敢えずされるが儘にさせていた。
少しだけ自分のした行いを反省した。
ボサボサになった髪の毛は敦がドライヤーで乾かして元に戻してくれた。
長い方は幸いにも濡れていなかった。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月11日 17時) (レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです! (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほんばし | 作成日時:2020年1月14日 21時