検索窓
今日:13 hit、昨日:4 hit、合計:18,029 hit

ページ6

手から伝わる体温に心まで溶けていくようにぼろぼろと頬を涙の粒が伝っていく。



「………ぅ…っ、ふ………」



「………海斗。」



元太はそのまま俺の体を寄せるとぎゅっと向き合うように体の向きを変えて抱きしめてくれた。


尻尾がゆらゆらと揺れてお互いの体に当たった。



「ねぇ、俺に教えて。何があったの、ちゃかの家だよね?」



少しだけ体を離して労るように涙を左手で拭ってくれる。


でも、その左手に原因となった光景を重ねてしまったせいで思い出してしまい、また体が震えた。




…この手が、俺だけのものになればいいのに。




俺は捨てられてた元野良猫だけど、海人はどこかのブリーダーの出だっていってた。



元々はどこかの純血のちゃんとしてる子で、劣悪な環境下だったからちゃかが保護するまでは酷い有様だったみたいだけど。



きちんとしたケアと愛情を注がれた今ではその名にふさわしいような立派な柔らかい毛並みと綺麗な瞳。



そして守ってあげたくなるような、養ってあげたくなるような、そんな雰囲気さえ感じるようになった。



そりゃあ元太が触りたくなるのも当然だとは思う。


………何もおかしいことなんてないのに。




………そうなのに………



「……俺以外の子を、あんまり触ったりしないでよ…!!」


そうやって叫ぶように言い切る。


「俺は…野良だったし、捨てられてたし…全然上等じゃ無いけど…だけど、だけどさ……!」




元太は、俺の飼い主でしょ…?




ぎゅ、と元太の服の裾をシワになるほど強く掴んでそう訴える。


元太は目を丸くしてびっくりしていたけれど、これで引かれてしまっても後悔はない……と思う。



……なんて強がってみても本当に引かれて嫌われてしまったらきっと、生きていけないのだろうけど。


こいつに捨てられたら俺はもう死ぬしかないんじゃないかとさえ思ってしまうくらいに俺は元太に溺れてしまっている。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
107人がお気に入り
設定タグ:TravisJapan , BL   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紫亜(プロフ) - kn_さん» コメントありがとうございます。ただいま私生活の方が落ち着いてきているのでゆっくりになりますがお話を作成中です。もうしばらくお待ちくださいませ。(*・ω・)*_ _)ペコリ (2021年10月22日 21時) (レス) id: c21d0ca7dc (このIDを非表示/違反報告)
kn_(プロフ) - 更新待ってます☺️ (2021年10月22日 18時) (レス) id: 26288553d9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫亜 | 作成日時:2021年8月26日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。